捨て犬や迷い犬をモンキードッグとして活用する試みも始まっている。例えば愛知県では本年度から予算を計上して、捨て犬活用のモデル事業を実施する。環境省の調べによると、2002年に殺処分された犬は動物愛護管理法に基づくものが11万匹、狂犬病予防法に基づくものが9万匹存在した(一部重複する)。モンキードッグの必要数は地域毎に数匹程度なので、その影響は微々たるものに過ぎない。とはいえ、犬の第二の人生を確保できることの意味は大きい。

一方モンキードッグには、育成や運用に伴う困難な課題もある。まず飼い主を見つけることが難しい。育成に当たっては、ある程度、飼い主も訓練に参加する必要があるからだ。もちろん飼育には自己負担も生じる(地域によっては補助が出る場合もある)。逆にすでに飼われている犬を育成する場合、適性によってモンキードッグとしての育成を諦めざるえない局面も出てくる。これは飼い主のプライドを刺激しかねない問題だ。

またモンキードッグの効果が局所的であることも問題だ。つまりある地域で猿の群れを追い払うことができても、その群れが別の地域で農作物を荒らす可能性があるのだ。また今後、猿が再び知恵を付け、うまく逃げる可能性もゼロではない。その場合は、モンキードッグの役割も限定的なものになるかもしれない。現状、モンキードッグは万能薬ではないことに注意する必要がある。

今年2月21日、鳥獣被害防止特措法が施行された。鳥獣による農作物への被害を食い止めるための法律だ。同法では市町村に対して被害防止計画の作成を求めている。そして市町村は同計画に基づき、鳥獣を捕獲したり、その被害を防いだりすることになる。鳥獣と人間とが棲み分けるための本格的な試みは始まったばかりだ。モンキードッグの試みも含めて、その動向を注視したい。

もり・ひろし

新語ウォッチャー。1968年、鳥取県出身。電気通信大学を卒業後、CSK総合研究所で商品企画などを担当。1998年からフリーライターに。現在は新語・流行語を専門とした執筆活動を展開中。辞書サイト・新聞・メルマガなどで、新語を紹介する記事を執筆している。NPO法人ユナイテッド・フィーチャー・プレス(ufp)理事。

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