そこで登場したのがモンキードッグだ。これは、野生の猿を追い払うように訓練を受けた犬のことを指す。2005年に長野県大町市が初めて導入した。同市ではこの試みを始めて以来、猿害をほぼなくすことに成功。これを知った全国の地方自治体が、追随して同様の取り組みを始めた。直近では岐阜県下呂市や三重県松阪市などが、今年度の予算でモンキードッグの育成費を計上している。
訓練は警察犬訓練所などで数カ月間にわたって行う。座れ、伏せ、待てなどの基本的な服従訓練を行った上で、猿を追い払うための独自訓練(偽の猿を追いかける練習など)も行う。人に危害を加えないことや、猿を追い払ったあと深追いしないことなどがポイントとなる。ちなみに育成費用は1匹あたり数十万円が相場だ。例えば高知県中土佐町の場合、育成費用は5カ月で25万8千円。うち3分の2を県や町が補助、残りの3分の1を飼い主が負担する。
運用時のモンキードッグは、農家の飼い犬として行動する。平時は飼い主と散歩するなどして周辺地域をパトロール。猿が現れた場合は、リードを放して群れを追いかける。前述の大町市では、猿の群れの一匹に生態調査用の発信器を取り付け、群れの接近に合わせて犬を出動させる試みも行っている。
モンキードッグを放し飼いできるよう、法整備も進んだ。政府は昨年11月12日に、動物愛護管理法に基づく改正基準を告示。これまで原則禁止していた犬の放し飼いを、野生鳥獣の追い払いなどに限り解禁した。実際に放し飼いをする際は地域によって細則を設ける場合もある。例えば通行人が野犬と勘違いしないよう、モンキードッグに対して識別用具(首輪や服など)を着用するよう求めることもある。
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