「モンキードッグ」

2008年4月8日

(もり・ひろし=新語ウォッチャー)

イラスト:小林商事

「犬猿の仲」という諺(ことわざ)がある。昔から不仲の例えとして用いられる。実際の犬と猿は特段に不仲でもないらしいが、野生環境において動物同士が互いに緊張感を持って接していることは間違いない。この緊張感を利用して「猿による農作物への被害」を食い止めようとする試みがある。モンキードッグと呼ぶ犬を育成して、農地にやってくる猿を追い払おうというのだ。この試みが近年、全国各地に広まっている。

現在、日本の農業界では、猿などの鳥獣による農作物への被害が深刻化している。野生動物が餌を求めるために里に下りてきて、畑や果樹園にある農作物を食べてしまうのだ。農林水産省の調べによると、2006年における鳥獣被害の総額は196億円にものぼる。このうち猪による被害が55億円、鹿が43億円、猿が16億円だった。そしてこれらのいずれも増加傾向にある。このような被害が続くため、高齢農家の中には労働意欲を失い廃業に至る人も出てきた。

もちろんこれまでも対策は行ってきた。例えば、農地の周りに電気が流れる柵を設置したり、猿が近づいたときに花火やゴム散弾銃などで威嚇したりなどの方法である。だが猿は知能が発達しているので、これらの仕掛けにもすぐ慣れてしまうという。そこでやむを得ない措置として、猿の捕獲に踏み切る地域もある。だが動物との共存を図る観点から、これを好ましく思わない人も多い。

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