エネルギー原単位の目標では、CO2の総量は減らない

だが削減目標としてのエネルギー原単位には、重大な欠点も存在する。

第1に、排出量の総量が減らない可能性がある。もちろんエネルギー原単位を減らすことは、単位活動あたりの使用エネルギーを減らすことにつながる。だが活動の総量自体が増えれば、エネルギーの使用量も増えてしまうのだ。このためエネルギー原単位による規制は、目標として甘いと指摘する人も居る。

第2に、この指標を用いた比較にも、依然として不公平感が残るという問題だ。例えば本稿の冒頭で、エネルギー原単位を国ごとに比較した。この読み取りには注意が必要だ。なぜなら国ごとに歴史・気候・地理条件・産業構造などに大きな差があるからだ。これらの差異を把握した上で指標を用いないと、国状からかけ離れた目標が出来上がってしまう。3月16日まで千葉で開催されたG20対話(閣僚級対話)では、この不公平感を背景に、日本の提案が発展途上国から大きな反発を受けた。

温暖化対策を有効に進めるには、世界中のあらゆる当事者が同じ土俵に乗ることが必要だ。これはポスト京都の枠組みを考える上で、最大の懸案事項である。日本政府が「美しい星50」で提言するように、国際社会は柔軟性と多様性を備えた枠組みを構築する必要がある。

もり・ひろし

新語ウォッチャー。1968年、鳥取県出身。電気通信大学を卒業後、CSK総合研究所で商品企画などを担当。1998年からフリーライターに。現在は新語・流行語を専門とした執筆活動を展開中。辞書サイト・新聞・メルマガなどで、新語を紹介する記事を執筆している。NPO法人ユナイテッド・フィーチャー・プレス(ufp)理事。

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