政府が取り組む「観光立国」政策でも、着地型旅行は大きな鍵を握る。

政府が昨年(2007)年6月に閣議決定した観光立国推進基本計画では、観光業を推進するための目標値を定めた。例えば日本人の国内観光旅行における1人あたり宿泊数を年間2.77泊(2006年)から4泊(2010年)にする、国内の観光旅行消費総額を24.4兆円(2005年)から30兆円(2010年)に増やす、などとしている。これらを達成する上で、着地型旅行の推進は不可欠だ。

そこで国土交通省は昨年3月に旅行業法の施行規則を改正。それまでパック旅行が実施できなかった第3種旅行業者(旅行業者は1〜3種のいずれかに登録が義務付けられる)について、その取り扱いを地元催行分に限って解禁した。そのいっぽうで第3種旅行業者の登録に必要な資金(営業保証金および最低資本金)は、従来通り600万円のままとした。これは第1種(国内外のパック旅行を催行できる)の1億円や、第2種(国内のパック旅行を催行できる)の1800万円より少ない。このため地域の観光協会が、着地型旅行の催行を目的に、第3種旅行業に登録する事例も増えている。

また同省は、国内における長期滞在型観光を支援する法案を、今国会に提出している。特定の地域内にある地方自治体・観光業者・商工業者などが、共同で観光圏整備計画を策定できるとする法案だ。この計画が国交相に認定されると、国が事業費の4割を補助する。これは着地型旅行の推進にもつながる施策だ。

大手旅行会社グループも着地型旅行の推進に取り組み始めた。例えばJTB(JTB沖縄)では「リッカツアー」という名のパック旅行商品を提供している。リッカは沖縄方言で「さあ何々しよう」を意味する言葉だ。また同社では「沖縄トラベルナビ」と呼ぶサイトも運営しており、全国に向けてパック旅行情報を発信している。このほか近畿日本ツーリストは、昨年12月、和歌山県橋本市などで「余暇ナビゲーター養成講座」を開講。着地型商品の企画者を養成し始めた。

各所で取り組みが進む着地型旅行だが、このようなパック旅行が存在することを知らない都市部の消費者も多い。今後は魅力ある商品づくりだけでなく、いかに有効に宣伝し、消費者に認知してもらうような情報を発信するか、どれだけ充実した販売チャンネルを構築できるかも旅行業者は試されることになる。

もり・ひろし

新語ウォッチャー。1968年、鳥取県出身。電気通信大学を卒業後、CSK総合研究所で商品企画などを担当。1998年からフリーライターに。現在は新語・流行語を専門とした執筆活動を展開中。辞書サイト・新聞・メルマガなどで、新語を紹介する記事を執筆している。NPO法人ユナイテッド・フィーチャー・プレス(ufp)理事。

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