有名企業を「エシカルかどうか」によってランク付け

エシカルは何もファッション界に限定した概念ではない。実際、英語圏のメディアでは、エシカルを含む複合語を数多く見かけるようになった。例えば、エシカルデザイン(倫理的デザイン)、エシカルインベストメント(倫理的投資)、バイイングエシカル(倫理的に買う)、エシカリープロデュースト○○(倫理的に生産された○○)といった表現がある。

このうち最も有名なのがエシカルコンシューマリズム(倫理的消費運動)ではないだろうか。これは英国で発達した概念で「倫理的に“正しい”商品やサービスを選択しよう」あるいは「そうでない商品やサービスをボイコットしよう」と訴える運動だ。グリーンコンシューマリズム(環境配慮型の消費運動)の拡大版とも言える。

例えば英国のNPOであるECRA(Ethical Consumer Research Association)は、世界の有名企業を「エシカルかどうか」によってランク付けしている。その際に審査対象になるのは「汚染やCO2排出などに気をつけているか」、「基本的人権や労働者の権利に配慮しているか」、「動物実験や工場型畜産を行っていないか」、「反社会的な方法で利益を得ていないか」といった要素だ。このようなランキングを発表することで、同NPOは消費者に対してエシカルな購買行動を求めている。

「エシカル」は全体を包含する

このエシカルという接頭語は、今後、日本でも登場機会が増えるかもしれない。環境と社会への配慮を幅広く言い表せる概念であるからだ。

例えば「エコ」や「グリーン」などの言葉は、環境への配慮を表すことができるが、社会問題全体を扱うことはできない。またロハス(健康と持続可能性を重視するライフスタイル)の場合も、社会問題全般を扱うにはやや範囲が狭い。一方でエシカルは、これらの言葉がカバーできなかった「広範な社会問題や社会責任」を一言で言い表せる。日本語における、この言葉の使われ方に注目したい。

もり・ひろし

新語ウォッチャー。1968年、鳥取県出身。電気通信大学を卒業後、CSK総合研究所で商品企画などを担当。1998年からフリーライターに。現在は新語・流行語を専門とした執筆活動を展開中。辞書サイト・新聞・メルマガなどで、新語を紹介する記事を執筆している。NPO法人ユナイテッド・フィーチャー・プレス(ufp)理事。

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