「クレド」

2008年2月19日

(もり・ひろし=新語ウォッチャー)

企業理念や社是などに代えて、クレド(credo)を導入する企業が現れている。クレドとは「信条」を意味するラテン語で、「企業の信条や行動指針を簡潔に記したもの」を指す。導入企業はこの仕組みを、従業員の自主的な行動を促すためのツールとして利用しているという。企業はクレドに、一体どんな内容を記しているのだろうか? そしてどのように運用しているのだろうか?

タイレノール事件で力を発揮したジョンソン&ジョンソンのクレド

イラスト:小林商事

この分野で有名な2つの企業について事例を見てみたい。

1つ目の企業は、ヘルスケア製品などを製造する多国籍企業ジョンソン・エンド・ジョンソン(以下J&J)だ。同社は『我が信条』と題するクレドを、企業運営の中核に据えている。原形となる文書は1943年に誕生した。文字数は日本語にして1000文字にも満たず、A4の紙一枚に収まる。

『我が信条』が示すのは、4つの利害関係者(顧客、社員、地域社会、株主)に対する責任だ。この責任を全うするための具体的な行動指針は21項目にも及ぶ。例えば顧客に対しては「高い水準の維持」「価格引き下げの努力」「迅速で正確な対応」「取引先への利益機会の提供」という4項目の行動指針を定めている。

同社のクレドを語る際に欠かせない話題がある。1982年に発生したタイレノール事件だ。何者かが同社の頭痛薬タイレノールに毒物を混入。服用者7人が死亡してしまった。同社はその際、クレドに立ち返り事態収拾を図った。具体的にはマスコミを通じた情報開示、全製品の回収、パッケージの再開発などを行った。その結果、それまで以上の高い信頼を顧客から得ることに成功したという。

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