「○○チョコ」

(もり・ひろし=新語ウォッチャー)

誕生からおよそ50年を迎える、日本のバレンタインデー。かつては女性から男性へ愛を告白する日だったが、現在は位置付けが随分様変わりしている。「友チョコ」「世話チョコ」「自分チョコ」など、様々な新語が登場した。今回はバレンタインデーの歴史を簡単に振り返りながら、その時々におけるチョコレートの役割について分析してみたい。

50年前、メリーチョコレートカムパニーが創始したとされる

イラスト:小林商事

日本のバレンタインデーは、およそ50年前に始まった。1958年にメリーチョコレートカムパニーが実施したセールが、実質的な創始だとされる。ところがこのセールで売れたチョコレートはわずか3枚だった。そこで同社は翌1959年に「女性から男性に愛を告白してよい日」とのコピーを導入。これがヒットにつながった。1960年には森永製菓もキャンペーンを実施。バレンタインデーは全国化した。当時は、若者の間で自由恋愛の気運が高まっていた時期に当たる。

そして70年代中ごろ、告白イベントだったバレンタインデーに「義理チョコ」という新習慣が加わった。この新習慣によって、チョコレートを受け取る男性の数が増加。いっぽう送る側である女性の層も、小中学生にまで裾野が広がった。このことが、一時期冷え込んでいたバレンタインデー市場を復活させることになる。これが現在まで続く「バレンタインデー=本命チョコ+義理チョコ」という図式の原形となった。

ところが近年のバレンタインデーは「本命と義理」だけの単純な図式では把握できない。バレンタインデーに数々の新習慣が登場しているのだ。

派生した新習慣〜「友チョコ」「世話チョコ」

第1の新習慣は「友チョコ」だ。これは女性が友達同士で交換しあうチョコレートを指す。起源は不明だが、一説には女子校での習慣が一般化したと言われる。一般化の時期は90年代後期と見られる。楽天リサーチが今年1月に実施した意識調査によれば、女性600人のうち「友人にチョコレートを贈る」とする人は19.5%いた。この割合は20代女性で25.0%、10代女性で46.0%まで増える。この場合のチョコレートは、交友関係を維持・再認識するためのツールだと言える。

次に注目すべき新習慣は「世話チョコ」だ。感謝チョコとも言う。これは女性が会社の上司や同僚などに、日ごろの感謝の意味を込めて贈るチョコレートを指す。やっていることは義理チョコと同じだが、そこに明確な感謝が込められている。この習慣の起源もはっきりしないが、少なくとも2005年ごろには同語を用いる人がいた。この場合のチョコレートは、お中元やお歳暮のように感謝を表すためのツールだと言える。

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