官の作業の遅れと厳格さが、審査日数を長期化させた
さて一連の騒動の原因となった「審査日数の長期化」は、なぜ発生したのだろうか?
最も問題なのは国土交通省の対応だ。まず改正法の細則を示す告示が遅れ、法解釈の揺れが続いた。また構造計算ソフトの開発および大臣認定作業も遅れている(NTTデータのソフトが1月21日に「仮」認定されたばかり)。さらに改正法は、建築確認申請後に内容を変更した場合、「書面の差し替え」ではなく「再申請」を求めている。このことが設計担当者の過剰反応を引き起こして、スケジュールの遅れにつながった(国交省は現在、「軽微な変更は再申請不要」との方針をとっている)。これらの対応のまずさが「官製不況」と呼ばれるゆえんとなっている。
これに関して政府は、福田康夫首相が「行政上の予見が足りなくて産業界に大変御迷惑をかけた」と述べ、陳謝した。1月25日の衆議院予算委員会で、民主党・前原誠司氏の質問に答えたもの。
教訓:拙速で極端な議論は過ちを招く
この問題への対策は急務だ。内閣府は2007年12月、国土交通省や経済産業省など関連の省庁局長級が構成する連絡会議を設置した。この中で、申請の円滑化や中小企業に対する支援などの方針を打ち出している。だが「これらは対処療法にすぎない」とする批判がある。建築現場の声を反映した、実用的な法律や運用を構築する必要がある。
一方この問題について、マスコミの責任を問う声も大きい。耐震偽装問題を感情的に取り扱うあまり、拙速な法改正をうながした面があるからだ。法改正の議論が盛んだった時点で、申請や審査にかかわる混乱を予測できたメディアは少ない。ネットでは、この状況を揶揄(やゆ)した「メディア不況」などの言葉も登場している。
官製不況の問題は、社会問題に対する議論の進め方について様々な教訓を残した。制度を変更すると、想定の内外を問わずさまざまな影響が出る。そして拙速で極端な議論に熱中しすぎると、それらの影響を見落としてしまう。遅きに失した感はあるが、今度こそ建築現場の声が反映された制度改革を望みたい。
| 前のページ | 1|2 | 次のページ |
あなたのご意見をコメントやトラックバックでお寄せください
「時代を読む新語辞典」 バックナンバー 一覧ページへ
- 「デジタルフォトフレーム」 (2008/09/24)
- 「サイト監視サービス」 (2008/09/16)
- 「低価格ミニノート」 (2008/09/09)

