「入れ逃げ」

(もり・ひろし=新語ウォッチャー)

イラスト:小林商事

石油価格の高騰が社会問題となる中、全国各地で様々な燃料盗が発生している。例えば農家のビニールハウスで暖房ボイラー用の重油が盗まれる、漁港で船の燃料に使うガソリンが盗まれる、といった具合だ。もちろんガソリンスタンドも犯罪者にとって格好の標的となる。スタンドを利用する一部ドライバーが、代金を踏み倒して車で逃げてしまう行為が横行しているのだ。俗に「入れ逃げ」と呼ばれる行為である。

例えば今年1月18日、三重県名張署は同市内の男性を入れ逃げ(詐欺)の疑いで逮捕した。この男性は同市内のガソリンスタンドでハイオクガソリン65リットルを給油しておきながら、約1万円の代金を支払わずに逃げていた。このほか1月12日には茨城県土浦市で、また19日には東京都港区で同様の事件が発生している。

急発進して逃げる入れ逃げ犯も

入れ逃げの手法は様々だ。

最も多いとみられるのが「自宅に財布を忘れた」などと言い訳をするパターンだ。その際、ドライバーは、免許証や車検証などを店員に預ける。ところが、預けた書類はまったくの偽物。スタンド側が支払いに戻らないドライバーを不審に思っても、そのドライバーを特定するすべはない。ちなみにドライバーの中にはナンバープレートを泥などで隠す者や、そもそも偽のナンバーを用いる者までいるという。

もっとひどいドライバーもいる。スタンドで給油を受けた直後、店員の隙をうかがい強引にクルマを発進させてしまうのだ。急発進するクルマを阻止しようとしてけがをした店員もいる。例えば2005年8月に大阪府箕面市で発生した入れ逃げ事件では、急発進を制止しようとした店員が、約20分間も逃走車のボンネットに乗ったままになってしまった。結局この店員は、車から飛び降りる際に全治6カ月のけがを負った。

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