総括 〜信頼関係の分断〜

ここまで、今年を象徴する10の新語を紹介してきた。選出に偏りがあるとすれば、それは筆者の好みのせいなので、どうかご容赦いただきたい。それをお断りした上で以上の10語を振り返ると、今年の世相としてある傾向が見えてくる。それは「信頼関係の分断」だ。

例えばモンスターペアレントの背景には、学校と保護者との信頼欠如がある。またワーキングプア、ネットカフェ難民、氷河期世代の背景には、政界や経済界が労働者に対して抱くべき「情」の欠如がある。さらに学校裏サイトでは生徒同士の信頼が崩れているし、赤ちゃんポストでは「信頼できる社会」を持てない母親が孤立している。信頼関係が薄らぐ社会の中で、若者が必死に空気を読もうとするからこそ、KYという言葉も必要になったのではないか。

だとすれば2008年は、社会のあらゆる場所で生じている「分断」を埋める作業が必要になるのだろう。来年の今ごろ、そのような前向きな新語が紹介できることを祈りつつ、今年最後の記事を締めくくりたい。

もり・ひろし

新語ウォッチャー。1968年、鳥取県出身。電気通信大学を卒業後、CSK総合研究所で商品企画などを担当。1998年からフリーライターに。現在は新語・流行語を専門とした執筆活動を展開中。辞書サイト・新聞・メルマガなどで、新語を紹介する記事を執筆している。NPO法人ユナイテッド・フィーチャー・プレス(ufp)理事。

前のページ 1|2|3|4|5 次のページ

あなたのご意見をコメントやトラックバックでお寄せください

「時代を読む新語辞典」 バックナンバー 一覧ページへ

ビジネスABC > 時代を読む新語辞典
RSSで最新記事を読む

PR