「特別編:2007年の新語十選」

(もり・ひろし=新語ウォッチャー)

イラスト:小林商事

2007年も残すところわずか。毎週、話題の新語を紹介した本連載も、これが年内最後の記事となる。そこで今回は趣向を変え、筆者が個人的な観点で選んだ「今年の新語」を10語紹介してみたい。選出にあたって考慮した条件は3つ。第1に、今年その言葉が話題になるきっかけがあったこと。第2に、その言葉が今後しばらくは定着しそうであること。第3に、その言葉に対する社会的関心が大きかったことだ。選び出した新語から浮かび上がった今年の世相は「信頼関係の分断」だった。

モンスターペアレント 〜協調関係の崩壊が怪物を生む〜

今年は、学校に対して理不尽な苦情や要求をなど突きつける保護者「モンスターペアレント」が社会問題化した。「うちの子供が下校途中に友達とケンカして怪我をしたので、学校は慰謝料を払ってほしい」などの要求をする保護者が増えたというのだ。この背景には、学校・保護者・地域の基本的なコミュニケーション不足がある。

この言葉が注目されたきっかけは、TOSS(教育技術法則化運動)代表の向山洋一氏が産経新聞で連載している『学力低下、学級崩壊、悩む先生…真犯人はこいつだ』(2005年10月31日連載開始)だとみられる。第47回(2006年12月1日)以降、「モンスターペアレント」がたびたび登場した。今年7月9日には、「文科省が来年度から同問題の対策に乗り出す」との報道もあり、高い認知度を得ることになった。

最近では医療界でもモンスターペイシェント(医師に理不尽な要求をする患者)という概念が登場した。モンスターは、協調関係の崩壊を示す新語だと思われる。今後、他分野で類似概念が登場するかもしれない。

ワーキングプア 〜いちど転落すると抜け出せない〜

今年は「ワーキングプア」も社会問題になった。ワーキングプアとは、働いても働いても生活保護を受ける水準の収入しか得られない人々のことだ。近年の日本では、非正規雇用者の増大や格差社会の深化などを背景に、このような生活を強いられる人が増えている。現代日本で経済社会の底辺に置かれると、並大抵のことではその状況から脱出できない。ワーキングプアという言葉は、そんな現実を教えてくれた。

この概念は元々米国で誕生したもの。これが日本に流入したきっかけは、NHKスペシャル『ワーキングプア〜働いても働いても豊かになれない〜』(2006年7月23日)だった。ブログでの言及数が本格的に増え始めるのは、同番組の第2回が放送された2006年12月10日以降のこと。以後、他メディアでの露出も増えることになった。

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