「咳エチケット」
(もり・ひろし=新語ウォッチャー)
あなたは「誰かが自分に向かってクシャミをしてきて不快な気分を味わった」経験はないだろうか。気の置けない友人同士なら笑い話の一つになっておしまいかもしれない。だが、これがウイルス感染の原因だとすると、心中穏やかでないだろう。最近、インフルエンザなどの呼吸器感染症を防ぐことを目的に、「咳エチケット」の考え方が台頭している。エチケットを啓蒙することによって、咳やクシャミによるウイルスの拡大を防ごうとするものだ。

イラスト:小林商事
この冬はインフルエンザの流行が例年よりも早く始まった。国立感染症研究所は、『感染症週報』の2007年第47週号(11月19日〜25日)において、流行が、年始から数えて第47週でやってきたと報告している。同報告が言う「流行開始」の目安は「各医療機関(定点5000機関)の週間患者数が平均で1名を超えた時点」。調査開始(1987年)以来、これまでの最速タイミングは第48週(1995年)だったので、今年は流行開始の最速記録を更新した。今冬、インフルエンザが大流行する可能性も否定できない。
ウイルスをもらわないこと、拡散しないことが、インフルエンザの有効な感染防止策
インフルエンザの対策方法には様々なものがある。最も有効な方法は、流行前にワクチンの接種を受けておくことだ。これで感染時の重症化を防げる。また普段の生活から栄養や休養をきちんととること、適度な温度や湿度を保つことに気をつける。これでウイルスの感染を防げる。
そして、そもそもウイルスをもらわないこと(あるいは拡散しないこと)も重要な対策となる。インフルエンザは、唾や痰や鼻水などに含まれるウイルスが、口や鼻などを通じて感染して発症する病気だ。つまり、咳やクシャミによる飛沫をいかに防ぐかが、対策上の重要なポイントになる。
ところが、咳やクシャミを防ごうとしない人が意外に多い。咳やクシャミの飛沫は、何も対策をしないままだと、半径2〜3メートルの範囲に届いてしまう。このような危険性があるのに、咳やクシャミに関するマナーは広まっていないのが現状だ。
ポイントは、口や鼻を覆うこと、手を洗うこと
咳エチケットには、大きく分けて2つのポイントがある。
第1のポイントは、咳やクシャミによる飛沫を防ぐことだ。具体的には「咳やクシャミをするときは、ティッシュなどで口や鼻を覆い、他人から顔をそむける」、「使ったティッシュはふた付きのゴミ箱に捨てる」、「咳やクシャミのおそれがある場合はマスクを付けて外出する」といったエチケットがある。
また第2のポイントは、手を清潔にしておくことだ。例えば咳やクシャミを防いだその手で、ドアノブやつり革を触ってしまうと、そこにウイルスが残ってしまう可能性がある。ほかの誰かがそれを触り、その手が口や鼻などに触れてしまうと、これが感染につながる可能性がある。こまめな手洗いもまた、重要なエチケットの一つだ。もちろんこれは、自衛の手段にもなる。
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