「株価操作スパム」

(もり・ひろし=新語ウォッチャー)

英語圏のネットには、ここ数年、株価操作スパム(pump-and-dump)がはびこっている。特定企業の好調を伝える偽情報を流布し、株価を故意に吊り上げようとするメールだ。スパマー(スパム送信者)は、あらかじめその株を保有しておき、株価上昇の後にそれらを売却する。そのため、本来の株主は不利益を被ってしまう。米国の市場当局はこの規制を開始。逮捕される送信者も出ている。

スパマーは、まず、株式市場における低位株に目をつける。低位株とは株価が格安であるような銘柄を指す。低位株は、株価の激しい変動が多く、偽情報による株価操作が比較的容易だ。そこでスパマーは低位株をある程度購入。そのあとスパムを送信して「その企業が有力企業に買収される」などの偽情報を発信する。

スパム受信者の大多数はこのような情報を無視するだろう。しかしながらごく一部の人は情報を信じてしまい、さらにその一部は、株式市場においてこれを注文してしまう。低位株はそのような注文に反応して株価を上昇させる。そこでスパマーは保有する株を売り抜けて、利益を得る。その後は当然のように株価が急落して、一般株主が不利益を被ることになる。

薬販売目的に次ぐ発送数の多さ

このような手法は、少なくとも2004年ごろには登場していた。英国のセキュリティー企業クリアスイフトが同年に発表したレポートによると、当時流通していたスパムメールのうち、株式操作に関係するものが26%存在していたという。これは薬販売目的のスパム(57%)に次ぐ多さだった。

2006年には、株価操作スパムが原因で、米国の化粧品企業サザンコスメティクスの株価が6倍に跳ね上がる出来事があった。スパムには「有名カントリー歌手のナオミ・ジャッドが経営に参画するため、業績が向上する可能性がある」と記載されていた。英国のセキュリティー企業ソフォスによると、このメールが出回る前の同社の株価は1セントだったのに対し、配信後の株価は6.6セントまで急騰したという。

前のページ 1|2 次のページ

あなたのご意見をコメントやトラックバックでお寄せください

「時代を読む新語辞典」 バックナンバー 一覧ページへ

ビジネスABC > 時代を読む新語辞典
RSSで最新記事を読む

PR