このトレンドに目を付けたのが食品メーカー各社だ。永谷園、フジッコ、日本水産といったメーカーが、この秋から相次いで専用「鍋つゆ」の販売を始めた。例えば永谷園は、『カレー鍋・和風』と『同・洋風』(希望小売価格300円)を擁して、鍋つゆ市場に初めて参入した。フジッコは『カレー鍋つゆ』(同315円)を、日本水産(ニッスイ)は『カレー鍋』(同300円)を販売している。

実はこの鍋つゆ、近年の「鍋調味料市場」における成長株だという。食品加工業界における鍋市場には、大きく分けて「たれ」と「鍋つゆ」の市場がある。従来は味付けポン酢などの「たれ市場」が主流だったが、近年はキムチ鍋つゆなどの「鍋つゆ市場」が急成長している。調査会社の富士経済が2007年1月に発表した『2006年の加工食品市場調査』によれば、2006年の鍋つゆ市場の規模は184億円で前年比7.9%増。1998年と比べると、なんと3倍の規模になっているという。

この鍋つゆ市場における現行のエース商品は「キムチ鍋つゆ」だ。昨冬は暖冬だったにもかかわらず、その人気は衰えなかった。これは、料理の簡便さを求める消費者が多いためだという。食品加工業界では「次なるキムチ鍋」を探しており、白湯鍋や豆乳鍋などの新しい鍋料理を盛んに提案している。カレー鍋つゆ商品の相次ぐ登場には、こんな背景もある。

このような食品メーカーの動きは、流通サイドでもおおむね好意的に受け入れられているようだ。複数メーカーがカレー鍋商品を販売し、ハウス食品がカレー鍋料理の提案を行っていることもあり、小売店店頭での商品提案が容易になっているという。また、一般に鍋料理は子供に対する訴求力が弱いが、カレー味であればそのような抵抗はない。野菜嫌いの子供を持つ親には、大きな魅力となる。

追い風に乗る食品メーカーが懸念するのは、今冬の気候だろう。気象庁は先月25日に発表した3カ月予報(2007年11月〜2008年1月)で「全国的に気温が高め」と予想した。逆風となる予報が気になる中、カレー鍋人気がさらに広がるかどうか、注目だ。

もり・ひろし

新語ウォッチャー。1968年、鳥取県出身。電気通信大学を卒業後、CSK総合研究所で商品企画などを担当。1998年からフリーライターに。現在は新語・流行語を専門とした執筆活動を展開中。辞書サイト・新聞・メルマガなどで、新語を紹介する記事を執筆している。NPO法人ユナイテッド・フィーチャー・プレス(ufp)理事。

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