「カレー鍋」

(もり・ひろし=新語ウォッチャー)

カレー鍋と言っても、カレーを煮込む鍋のことではない。カレー味の鍋料理のことだ。実はこの秋、食品メーカー各社が相次いで「カレー鍋用の鍋つゆ」を市場に投入した。そこで、新しい家庭料理として、カレー鍋への注目度が高まっている。カレー鍋は居酒屋を発信源にクチコミで広まった人気料理。このトレンドが、成長著しい鍋つゆ市場に飛び火し、家庭にも広まりつつある。

和風であれば白菜・ネギ・油揚げ、洋風であればプチトマト・ブロッコリー

カレー鍋は、具材の間口が広いことが特徴。昆布や鰹などのダシを使えば和風カレー鍋に、ブイヨンなどのダシを使えば洋風カレー鍋になる。和風鍋であれば白菜・ネギ・椎茸・人参・油揚げなどが合うし、洋風鍋であればプチトマト・ブロッコリー・キャベツ・カボチャなどが合う。もちろん肉や魚介はどちらにも合う。普通の鍋料理に登場しない具材も取り入れることができる。かつ味付けの失敗が少ない点も、カレー鍋の大きな特徴だ。

鍋料理に付きものの「締め」にも、カレー鍋ならではの楽しみがある。例えば締めにご飯を入れると「カレー雑炊」や「カレーリゾット」を楽しめる。カレーリゾット(注:米から煮込むわけではないので正確にはリゾットではない)は、チーズを加えるなどして味の変化を楽しむこともできる。もちろん、生卵を加えても美味しい。うどんを入れれば「カレーうどん」を楽しめる。

兵庫の居酒屋『喰い切り酒場・伝心望』が発祥の地

カレー鍋ブームの発端になったのは、兵庫県姫路市にある和風居酒屋『喰い切り酒場・伝心望(でんしんぼう)』だと言われている。もともと賄い料理だったカレー鍋をメニュー化したところ、看板料理として成長したというのだ。伝心望は2006年6月、東京都世田谷区(三軒茶屋)にカレー鍋専門店をオープンさせた。カレー鍋用スープの通信販売も行っている。このほかカレー鍋が名物料理になっている飲食店はいくつか存在する。

いっぽう2006年1月には、NHKの『きょうの料理』でタレントのグッチ裕三氏がカレー鍋の作り方を紹介した。受験生応援メニューということで『受かれー鍋』と名付けていた。またグッチ氏は今年1月にも『カレーおでん鍋』のレシピを紹介した。テレビにおけるこのような露出や、飲食店での人気などを背景に、カレー鍋人気はクチコミで広まったものと思われる。

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