「還付金詐欺」

(もり・ひろし=新語ウォッチャー)

高まる年金不安などを背景に、その年金をネタにした犯罪「還付金詐欺」が横行している。税金や年金の還付話を高齢者に持ちかけて、ATM(現金自動預け払い機)を操作させ、言葉巧みに金を振り込ませてしまう詐欺手法だ。被害総額は、この1年半で約20億円にも達する。警察などの関係機関は「ATM経由での還付金手続きはない」と呼びかけている。

税務署や社会保険事務所などの職員を装い、被害者に偽情報を知らせる

還付金詐欺の手口は以下の通りだ。まず加害者は、税務署や社会保険事務所などの職員を装い、被害者に対して「税金や年金の還付がある」との偽情報を知らせる。通信手段はハガキや電話を使う。この情報を信じた被害者は、加害者に対して電話で連絡を取る。連絡を受けた加害者は被害者に対して「還付金を支払うので、ATMで口座の残高を確認してほしい」と伝える。

加害者が巧妙な誘導を行なうのはここからだ。まずATMで残高が増えていないことを確認した被害者は、携帯電話で加害者に連絡を取る。すると加害者は「ATMでエラーが発生したようだ」「いったん、こちらの口座に振り込みを行ってもらえれば、還付金を上乗せした金額を再度振り込む」「そこで次のようにATMを操作してほしい」などと誘導する。その結果、被害者は加害者の口座に金を振り込んでしまうのだ。

被害金額が急増、被害者は主に高齢の女性

この手法を警察庁では、新手の「振り込め詐欺」と考えている。振り込め詐欺とは、被害者に金を振り込ませる詐欺手法を総称する言葉。その仲間には、親族のトラブルを信じ込ませて解決金を振り込ませる「オレオレ詐欺」、アダルトサイトなどの架空の未払金を振り込ませる「架空請求詐欺」、融資話を持ちかけて信用保証金の名目で金を振り込ませる「融資保証金詐欺」がある。

警察庁は10月31日「振り込め詐欺(恐喝)の認知・検挙状況等について」と題する統計資料を発表。還付金詐欺の急増ぶりが明らかになった。例えば、還付金詐欺の月別統計が始まった今年1月の認知件数(振込発生分)は73件(被害総額は約8600万円)だったのに対し、9月は211件(約2億5000万円)に増えている。これは振り込め詐欺の発生件数(1539件)の13.7%を占める。

還付金詐欺の標的にされるのは、主に高齢の女性だ。今年1月から9月にかけての被害者のうち男性の割合は34%、女性の割合は73%だった。女性の被害者のうち、50歳以上の高齢者は85%に達していた。これらの傾向は、オレオレ詐欺の被害傾向(女性被害者の割合が74%)に似ている。

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