「Webファースト」

(もり・ひろし=新語ウォッチャー)

欧米の新聞社の間で「Webファースト」と呼ぶ編集方針を採る会社が増えた。インターネットが普及した影響で、消費者の新聞離れが世界的に進んでいるからだ。一部の新聞社は、紙媒体ではなくWeb媒体で最新記事を提供。Web媒体の付加価値を高め、ネットユーザーを集めようとしている。ただ新聞業界にとって広告収入を主体にしたビジネスモデルの構築は容易ではない。

新聞離れが進む

最近、消費者の新聞離れが進んでいる。日本新聞協会が発表する統計によれば、新聞の世帯あたり発行部数は、1993年には1.22部(総部数は約5200万部)だった。これが2006年には、1.02部(総部数は1993年とほぼ同じ)に減少した。統計からは「総発行部数こそ減っていないものの、新聞から離れる世帯が増えている」ことが読み取れる。しかも、これはあくまで公称部数をベースにした話。実売部数はこれより遙かに減っているという指摘もある。

消費者の実感として「最近、新聞よりもネットや携帯電話に触れる時間が増えた」と感じる人が多いだろう。日本新聞協会の『2005年全国メディア接触・評価調査』によれば、1年前に比べて新聞を読む時間が増えた人は21.8%。インターネットを使う時間が増えた人は28.9%。携帯電話などを使う時間が増えた人は30.1%いた。ニュースは今やネットや携帯電話で入手できる。このため新聞の相対的な価値が低下している可能性が高い。

記事の性格によって、適切な発表媒体と公開タイミングを判断する

そこで新聞業界は、強い危機感を抱きながら、事業のネット対応を模索している。皆さんもご存じの通り、現在、主要な新聞社は自社サイトで最新記事の一部を紹介している。ポータルサイトへも記事を提供している。だがWeb上で記事を公開することは、紙媒体の販売部数の減少を招きかねない。新聞の売り上げにおいて、販売収入は51.9%(2005年度)を占める。

そんな中、欧米の新聞社の間で、Webファースト(web-first publishing)と呼ぶ編集方針を採用する会社が増えている。これは紙媒体ではなくWeb媒体で最新記事を提供しようとする方針だ。

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