答えはいくつもある。最適な回答を見つけだす癖をつけてほしい
── 若い技術者に対して、メッセージをいただけますか。
五十嵐 ひとつの方向に決めるやり方ではなく、様々な可能性を模索してほしい。答えはいくつもあります。その中から最適な回答を見つけだす癖をつけてほしい。そして、自分だけの王国を作るのではなく、様々な立場の人の意見に耳を傾けて、最も共鳴できるものをその中に盛り込んでほしい。もちろん意見を聞く際には、自分の意見が必ずあることが前提です。聞いたことを判断するためには、自分自身が勉強しないといけませんから、それも自分を成長させることにつながる。この繰り返しが大切なんです。
私は、伝統工芸の技術者と違って、一品モノの完成品のために技能を追求しているわけではありません。どんな道具を作るべきか、量産するためのプロセスをどうするのか、といったことも技術のひとつです。そして、教えるということも技術者に求められる要素だと考えています。私も元々教えることは苦手でした。教えるということでの失敗もあります。しかし、技能をしっかりと伝承していくという意味では教えることは大切だと、実感しています。ですから、今は教えることに多くの時間を割いているんです。黄綬褒章の受章も、技能そのものの評価に加えて、技術指導の観点が評価されたと思っています。これからの若い技術者には、教えることも技能のひとつだという認識を持ってもらいたいですね。それが、日本のモノづくり技術を高めることにつながりますから。
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