── 外資系コンサルティング会社にいらしたのなら、慈善活動に熱心な会社だってご存じでしょう。そういう会社のスポンサードを受けていれば、アルバイトで生活費を稼ぐ必要もなかったのではないですか。

小暮 企業のスポンサードを受けるのは、絶対にやりたくないことの一つでした。それをやってしまうと活動が発展していかないからです。たとえば前述の伊藤忠商事は、我々の活動に早い段階から協力してくださった企業の一つです。もし、伊藤忠が我々のスポンサーになっていたらどうでしょう? 伊藤忠とライバル関係にある他の商社は絶対に参加してくれません。傘下の関連会社や協力関係にある会社も同様でしょう。

私は、今後もますますTFTの活動を広げていきたいと考えています。たくさんの会社や団体の協力も得たいし、我々の取り組みを世間に知ってもらいたい。そのためにはTFTを無所属中立的な組織にしておかなくてはなりません。「ひもつき」では駄目なのです。「活動を広げていたきい」との関連で言うと、TFTのコンセプトである食事代金の中から募金してもらう仕組みもその一つです。いまでも時々、こう言われることがあるんです。「どうしてそんな手間のかかることをするのか。レジの横に募金箱を設置して、小銭を入れてもらえばいいじゃないか」と。

そういう意見はもっともだと思います。しかし日本は、欧米と比べれば慈善活動の歴史が浅く、社会的な認知も決して高いとは言えない。赤い羽募金は全国的に有名ですが、スーツの胸に羽を付けているビジネスパーソンを見ることは必ずしも多くはないでしょう?

募金行為を「売名的」と捉えるのでしょうか、恥ずかしがる人も少なくないんですよ。日本人は、善は隠れて施すことを良しとする国民性ですから。でも「食事代金の一部が募金に回る」というワンクッションを置けば、心理的な抵抗が少なくなりますよね。

(次回は5月27日公開予定です)

諏訪 弘

1970年生まれ。広島県出身。大学卒業後、新聞社・出版社勤務などを経て、現在はフリーランスのライター・エディター兼カメラマン。PC・ビジネス系 をはじめ、エンタテインメントや書評関連などの仕事を多く手がける。

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