女性の感性で新型列車をデザインする(2)
「デザインのためのデザイン」はしない
(聞き手:諏訪 弘=フリーライター)
(前回記事はこちら)
スマイルトレインのデザイン開発にあたって、女性メンバーが気をつけていたことがある。見た目だけを重視した「デザインのためのデザイン」はしない。必ず機能性やアメニティを追究したデザインとし、学問的な裏付けも取る、と。
考えられることはすべてやった。けれども初めての車両開発であっただけに100パーセントの自信はなかった。それだけに「イベントでお披露目をしたとき、お客様から好評を頂いたことで、ようやく達成感を実感できた」と沢田さんは述懐する。
── 使いやすい車両を造るためには学問的な裏付けはもちろん必要でしょう。しかしそれと同じくらいに車両開発の経験も大切になると思います。ところがプロジェクトメンバーの皆さんはそういう経験は皆無だったわけですよね。不安を感じたことはありましたか。

沢田和美さん 西武鉄道・次期通勤車両プロジェクトメンバー
いえ、まったくありませんでした。というのは、スマイルトレインの開発は女性メンバーだけで行なっていたわけではないからです。社内の専門家はもちろん、車両の製造会社の方もスマイルトレインに大きくかかわりました。彼らは長く車両開発に携わっているプロですから、黙っていても平均点以上の車両は造れる。私たち女性メンバーの仕事は、その車両に新たな風を送って、平均点を満点に近づけていくこと。そう考えていたので、ある意味では気楽でした。
男性メンバーとの対立ですか? それもありませんでした。正面からきちんと意見を言えば、しっかりと対応してもらえましたから。鉄道会社は男性優位で、女性社員が業務提案をしても軽んじられる…。先にお話したように、そういうものだと思い込んでいただけに、これはうれしい誤算でした。
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