仏料理の☆☆シェフが、ファストフードのバーガーを変えた(1)
「俺でなくてはできないものを作ることこそ義務」

2008年3月5日

(聞き手:諏訪 弘=フリーライター)

 ロッテリアが2007年の11月に発売した「絶品チーズバーガー」が順調に売り上げを伸ばしている評判だ。値段は単品で360円と業界内では高い部類に属す。だが、ファストフード業界で初めて、ハンバーガーにナチュラルチーズを使った。パンや肉にも良質な食材を採用したことも話題となっている。

ナチュラルチーズを使用した『絶品チーズバーガー』

 売上高の具体的な数値は「企業秘密」。だが、先行販売した店舗では1カ月の販売目標に掲げた個数を、わずか3日で売り切った。今も注文に供給が追いつかないほどの売れ行きを示しており、1店舗あたり1日200個の限定販売が続いている。

 この「絶品チーズバーガー」を開発したのは、同社の総合プロデューサーの嶋原博氏だ。同氏は異色の経歴の持ち主である。これまでに2度の渡仏を経験。2つ星レストランでシェフを務めたこともある。

── フランス料理の本格シェフがファストフード業界に居る、というのは驚きました。

嶋原 ええ、よく言われます。「渡仏経験のあるシェフだったら、オーナーシェフになるのが普通だろう」とか。フランス料理のシェフなんて、俺も含めてみんな一匹狼志向で、自己満足の塊だからね。大きな組織に属することを厭う傾向はあると思います。

でも俺、2003年に店のプロデュースをしてるんです。渋谷にある「ヴィロン」という、パンとかケーキ、サンドイッチの店をね。これは本当に俺の自己満足100パーセントの店で、今でも繁盛してる。この店を出したことで、取りあえず俺の自己満足は達成した。じゃあ、今度は別のことをやってみよう…、という気持ちがあったんです。

ロッテリア 嶋原 博氏

そもそも仕事に対する俺の基本的な考え方は「お客さんに『美味しい』と言ってもらいたい。喜ばせたい」なんです。つまり俺にとっては、オーナーシェフとして自分の店を切り盛りするのも、大手チェーンで商品開発に従事するのも、「お客さんを喜ばせる」という点では同じ感覚なんですね。だから組織に入ったからといって、特に違和感はないですよ。

実は俺、ロッテリアに入社する以前にも会社勤めしていたことがあったんです。ある大手喫茶チェーンの会長さんにお話を頂いて。1年間だけですけどね。そこではサイドメニューの開発をやって、お客さんの評判もすごく良かったんです。それはやっぱり達成感ありますよ。反響も売れ行きも、個人で店をやってるのとはけた違いだからね。この体験で「大手チェーンも面白いんだな」と考えるようになった。それもロッテリアに入社したきっかけの一つかな。

ロッテリアに入社したのは2006年の10月です。スカウト? 違いますよ、転職情報誌を見て入った(笑)。会社のトップダウンで入ることもできたんだけど、それだと周囲が気を遣っちゃうし、仕事も面白くなくなっちゃうでしょ。俺、そういうの嫌だからさ、一応入社試験を受けた。で、プロデューサーの立場で商品開発課に配属になりました。

入社した当時はデザートの開発をやりました。ご存じかな、「スウィーテリア」っていうシリーズなんだけど。これはレシピも含めて全部ゼロからつくった。特に女性には評判がいいですよ。それまでロッテリアのデザートは、シェークに「コアラのマーチ」を入れるとか、そんな程度のものだったんです。

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