■確かに、競合するデジカメメーカーの間から、「松下電器は何をやるか分からない」という声が出ているようですね。

今井 それは、我々にとっては誉め言葉かもしれませんね。店頭で、中高年層の方々が、「きみまろのカメラはどれ?」と聞いている様子を見ると、結果として、インパクトのあるプロモーションができたのではないかと思っています。調査結果を見ても、TZ3の指名購入比率は急激に高まっています。販売店からも「団塊世代の方々の購入が多い」という情報が届いています。

TZ3の発表会風景

■きみまろさんを採用して、失敗したときのことは考えませんでしたか。

今井 発表まで1カ月しかありませんでしたから、失敗したときのことを考える余裕なんてありませんでしたよ(笑)。それだけがむしゃらになってやったことが、むしろ良かったかもしれませんね。

それと、スタッフにも恵まれていました。クリエイターやコミュニケーションのチームが、同じフロアにいますから、意志の疎通が迅速にできた。これも、短期間でインパクトのあるメッセージを発信することに結びついています。

■きみまろズーム発売後のシェアはどうなっていますか。

今井 高倍率コンパクトモデルでは、TZ3がトップシェアを獲得しています。機種別シェアでも、ベスト5に入りました。これだけたくさんの製品が林立している市場で存在感を示すことができた。主力のFX30が想定通りのシェアを獲得していますから、TZ3が上昇した分、メーカー別シェアも大きく上昇しています。

■次はどんな手を打ちますか。

今井 「常に、危機感を持つこと」に変わりない。そのなかで、どんな手を打つか。強者の戦略を打つようになったら負けるだけ、ということは肝に銘じています。

これまでの経験で言うと、売れる商品には「これならばいけるな」と感じさせる何かがあります。製品を見たときの印象とか、話し合いのなかでちょっと気になったこととか…。「なんとなく感じた」ことが、結果に結びつくことも多いんです。私は、そのフッと感じるものを大切にしたいと考えています。きみまろズームにも、そうした部分がありましたね。

これからも、市場にインパクトを与えられる仕事をしたいと思っています。もう頭のなかは、次の施策でいっぱいです。きみまろズームを越える仕事をしなくてはならないですからね。

大河原 克行

日経トレンディネットの「大河原克行のこれは“にゅーす”です」の連載をはじめ、月刊宝島(宝島社)、PCfan、WindowsMode(毎日コミュニケーションズ)などで連載および定期記事を執筆中。

著書に、「ソニースピリットはよみがえるか」、「松下電器 変革への挑戦」、「作るキヤノンを支える売るキヤノン」、「ネット通販で年商100億円」、「パソコンウォーズ最前線」などがある。

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