■企画会議ではどんなことを話したのですか。

今井 市場分析をし直すと共に、いろいろなアイデアを出し合いました。「動物園に持っていくと威力を発揮するのではないか」。あるいは「遊園地ならばどうか」。あらゆる利用シーンを想定したプロモーションを考えたのですが、どれもピンとこない。

煮詰まっていたときに誰かが、「2007年問題」という言葉を投げかけたのです。団塊の世代の大量退職時代を迎え、モノにこだわる層や、資金的余力を持った層が潜在需要として存在していることはチームでも理解していました。すでに、薄型テレビのVIERAでそうした層に対するプロモーションを行っていましたからね。しかし、2007年問題とデジカメとは、なかなか結びつかないでいた。

ところが当社の市場調査結果を見ると、2006年には、デジカメユーザー全体の3分の1近くを50歳代以上が占めており、団塊世代の購入者が増加していることが分かった。同時に、女性の購入が年々増加している。「ここにターゲットを絞り込んでもいいのではないか」ということになったのです。

■つまり、製品がほぼ完成して、しかも、発売直前になってからプロモーションコンセプトが変更になったというわけですね。最近の松下電器では珍しいのではないですか。

今井 松下電器では、2001年4月のパナソニックマーケティング本部の発足以来、製品企画の段階から広報や宣伝部門なども会議に参加し、プロモーション展開について早い段階から詰めていきます。ご指摘のように、TZ3のプロモーションコンセプトの変更は異例とも言える状況でした。

実は、LUMIXには、浜崎あゆみさんをキャラクターに採用したFX30という基幹製品があります。この製品のプロモーションに関しては綿密な企画が進行していました。

当社は2001年にデジカメ市場に参入した後発メーカーですが、いよいよ20%のシェアに王手をかけるところにきた。ただ、20%を達成するには従来路線を続けるだけではだめ。なにかブレイクスルーが必要になる。そのブレイクスルーの役割を担ったのがTZ3だったのです。当初は、FX30の一本立てでいく計画だったものを、FX30とTZ3のツートップ戦略で進めることにしたのです。

■しかし、発表1カ月前では、やることにも限界がありますね。

今井 副社長の牛丸(俊三氏)から、あることを言われていたんですよ。それが、TZ3のプロモーションを大胆なものにする原動力になったんです。

(次回に続く)

大河原 克行

日経トレンディネットの「大河原克行のこれは“にゅーす”です」の連載をはじめ、月刊宝島(宝島社)、PCfan、WindowsMode(毎日コミュニケーションズ)などで連載および定期記事を執筆中。

著書に、「ソニースピリットはよみがえるか」、「松下電器 変革への挑戦」、「作るキヤノンを支える売るキヤノン」、「ネット通販で年商100億円」、「パソコンウォーズ最前線」などがある。

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