■入社2年目の若手社員に製品開発を任せるというのは、NECとしては大英断ですね。

大石 約5年の間、製品企画部門には若手社員が入ってこなかった。また「NECとして、これまでとは違う発想のパソコンを投入したい」という機運が盛り上がっていた。そこで、私にやらせてみようということになったようです(笑)。

VALUESTAR Nの開発プロジェクト名は、「OASIS(オアシス)」です。これは、起死回生を意味する「an oasis in the desert(砂漠のなかのオアシス)」からきています。この開発プロジェクト名からも、「新たなものを開発していくんだ」というNECの意欲が伝わると思います。

■どんな形で、指示があったのですか。

大石 上司からは、「よろしく頼むよ」という一言だけでした。「驚いた」というよりも、むしろ「しめた!」という気持ちが強かったですね。もちろん、不安はありましたし、製品企画を任されたという責任の重さも感じました。ただ、入社したときから自分で製品企画をやりたかったですし、学生時代から長年使用してきたNECのパソコンを自分が進化させたいという気持ちもありました。

実は、VALUESTAR Nの前に、2つの「省スペース」製品の企画にメンバーとして参加しました。結果は、両方とも日の目を見ないままお蔵入りとなってしまった(笑)。今回は失敗できないという気持ちもありましたね。

しかし、この2回の失敗経験が、自分にとっては大変いい勉強になりました。自分では「これは行ける」と思っていても、まだまだ甘い部分がたくさんあった。自分では素晴らしいアイデアだと思っても、それが利用者にとってどんなメリットがあるのか、その魅力をどう伝えればよいのか、といった部分で甘さがあった。それを繰り返し指摘されたことはいい勉強になりました。

■VALUESTAR Nの製品企画において、何か条件はあったのですか。

大石 いま、「一家に1台」になったパソコンを一歩進めて、1人1台、あるいは1部屋1台にできるパソコンを開発してくれ、ということだけでした。

NECは、ノートパソコンの製品企画とデスクトップパソコンの製品企画が別々の組織になっています。しかしこのプロジェクトは「デスクトップ型でも構わないし、ノート型でも構わない」というところから始まりました。

これまでの製品企画ですと、まず、ノートパソコンか、デスクトップパソコンかという発想から入った。そうなると、モノづくりにどうしても限界ができてしまいます。過去の製品と同じようなデザインにしかならない。入社2年目の私に任せてもらえたのは、「そうした組織のしがらみや、固定的な発想にしばられないだろう」と思われたことが理由の1つかもしれませんね。

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