インフルエンザの流行は人ごとではない!

「予防接種をすればかからない」は誤解

国立感染症研究所感染情報センター
主任研究官
安井 良則氏国立感染症研究所感染情報センター
主任研究官
安井 良則氏

 インフルエンザの予防方法としては、予防接種が一番効果的である。しかし、予防接種に対して誤解が生じているのも事実だ。「インフルエンザワクチンは不活化ワクチンです。はしかなどのように感染を防ぐ生ワクチンではないため、予防接種をしたら感染しないというほどの効果は望めません。しかし、ある程度の発病と、発病した場合の重症化を抑える効果があります」(安井氏)。

 ちなみに、うがいや手洗い、マスクという一般的な対策に関しては、インフルエンザの予防というよりも、全般的な冬の感染症に対する効果があるという。マスクは主要感染経路である飛沫感染を防ぐ効果、手洗いは飛沫の付いたものを触った手を清潔にする効果、うがいは喉の奥で増えるウィルスを減らす効果がある。しかし、どれもインフルエンザを予防する決定打にはならない。現在、発症を防いだり、症状の軽減という点で特異的な効果があるのは、予防接種だけなのだ。

 予防接種の効果に関しては、すでに高齢者と大人への有効性が確認されている。子どもへの効果は、現在日本ではまだきちんと確立されていない。「日本は予防接種で1人でも何かあったら大問題となります。予防注射を打たずにインフルエンザでたくさんの人が死亡した場合、大きな問題にはなりません。こうした体質のおかげで、子供への有用性の研究も進みづらい部分があるのです。アメリカではすでに子どもへの有効性が確認されており、有効かどうかといった段階の議論は終了しています。しかし、日本では、学校での集団予防接種が1990年代に廃止されているため、一般の子供がどれだけ接種しているか、といったデータすらないのが現状です」と安井氏は日本の考え方の問題点も指摘する。

 現在、タミフルの副作用について議論が起きている。これについて安井氏は、「タミフルは比較的副作用が少ないといわれており、過剰に心配する必要はありません。興奮などの精神症状に関しても、因果関係は明らかではないという見解があります」と語る。

 インフルエンザは、ときに脳症や肺炎を引き起こす。それらを予防する、という点でも症状を緩和する効果がある予防接種は有効だ。インフルエンザ・ワクチンは、接種してから体内で抗体ができるまで数週間を要する。きちんと効果を得るためにも、12月前半までに接種するのが望ましい。毎年流行するインフルエンザ。正確な情報収集と、ワクチンの接種が一番の予防だといえる。

SAFETY JAPAN メール

日経BP社の書籍購入や雑誌の定期購読は、便利な日経BP書店で。オンラインで24時間承っています。