特集:
予防対策・早期発見・早期避難で火災から身を守る
建物火災による死者の約9割は住宅火災が原因
今回は住宅火災の発生原因やそれに伴う死者数の現状、各家庭で備えるべき対応策について話を聞いた。
文/太田万紀子、写真/渡徳博
2005年12月2日
増加する住宅火災
『平成16年版 消防白書』(総務省消防庁)によると、全国で建物火災は約3万件発生している。そのうち住宅火災はここ数年、年間1万7000件前後で推移している。
住宅火災による死者数(放火自殺者等を除く。以下同じ)は平成11年が981人、平成12年が936人、平成13年が923人と減少していたにもかかわらず、平成14年以降は増加傾向に転じ、平成15年からは2年連続で1000人を超えている。1000人を超える死者が出たのは、昭和61年以来のことだ。


参考:『平成16年版 消防白書』(総務省消防庁)
その内訳を見てみると、16歳から20歳代の人口10万人あたりの住宅火災による死者数が0.15人なのに対し、高齢者になるとその数が大きく増加、81歳以上では約32.7倍となっている。
先ほど挙げた年間の住宅火災による死者数でも、65歳以上の高齢者は毎年過半数を占めている。高齢化社会が進むことと考え合わせると、このままでは住宅火災による死者数はさらに増加すると見込まれている。
「火災」というと、2001年9月1日に起きた東京・新宿区歌舞伎町でのビル火災(44人が死亡)や、昨年12月13日に埼玉県さいたま市内の大型量販店「ドン・キホーテ」で起きた火災(ドン・キホーテの従業員3人が死亡)などを記憶している人も多いだろう。しかし実は、建物火災の中で占める割合がもっとも多いのは、住宅火災なのだ。また、火災による死者数の約9割は、住宅火災によって亡くなっているのである。
なぜ、住宅火災の件数、死者数ともに“高止まりの状況”が続いているのだろうか?
その原因の一つに、住宅についてはこれまでほとんど火災に関する規制がなかった、という点が考えられる。住宅と違って商業施設では、たびたび消防法が改正され、防火扉やスプリンクラーの設置を義務づけるなど、様々な対策が施されている。
住宅火災の原因としてもっとも多いのが、コンロからの出火である。次いで多いのは放火および放火の疑いであり、たばこ、ストーブと続く。たばこで一服したり、冬季の寒い時期にストーブで部屋を暖めたり、コンロで料理をするのは日常生活と切り離せないものだ。つまり、放火を除けば、火災は実に身近な状況で起きているといえる。

参考:消防庁『消防白書』(平成16年度)
また、住宅火災による死因を見ると、「発見が遅れ気づいたときには逃げ道がなかった」「ほとんど避難できなかった」「逃げる機会を失った」「逃げ切れなかった」などのいわゆる“逃げ遅れ”が約7割に及ぶ。
当然なのかもしれないが、住宅火災の発生時間でもっとも多いのが夜間だ。火災が発生して煙が生じても、煙は上昇する性質があるため、部屋の低い位置で寝ることが多い就寝中は気付きにくく、気付いたときは手遅れというケースが多い。
また高齢者の中には、火災の発生に気付いても体がすぐに動かなかったり、逃げるのに時間がかかるということも考えられる。
こうしたことから、まずは火災を起こさないように十分に気をつけることはもちろん、万が一、火災が起きた場合には早期発見・早期避難が火災で命を落とさないための対策といえるだろう。
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