特集:
耐震改修の落としどころ
“新耐震基準”は絶対条件にならない!?
文/細谷 陽二郎、安藤 剛、渡辺 圭彦(日経ホームビルダー)
2005年12月6日
理想論だけでは既存住宅の耐震化は進まない
地方自治体の、耐震改修工事に対する補助金制度では、さまざまな条件がある。まず自治体から派遣された診断員が耐震診断を実施。その結果に基づく耐震改修では、工事後の性能として建築基準法の新耐震基準満たすこと、または耐震診断の評点を1.0以上にすることを求めることが多い。
ただ、愛知県のある住宅会社では、「評点1.0以上にするのに費用がかさむ住宅は多い。プランを示しても、たいていは断られてしまう」と話す。住まい手が、自宅の耐震性能に不安はあるものの、予算をかけられないために改修工事をあきらめてしまえば、古い住宅は手付かずのままになる。
わずかな補修でもマイナスにはならない
「耐震診断は自分の仕事じゃない」「新耐震基準を満たすような高額の工事は断られるに決まっている」と、耐震改修に消極的になっている住宅会社もあるかもしれない。
しかし、多くの耐震改修を手がけてきた匠建築代表の保坂貴司さんは、「わずかな補強でもマイナスに働くことはない。予算に合わせた改修は十分可能」と話す。
行政の制度に乗った耐震診断を実施しなくても、住宅会社には住まい手の家をチェックする機会はたくさんある。たとえば定期点検のときに、壁の量や配置などを調べる。問題があったら、外壁などのリフォームと合わせて耐震補強を提案する。「防災対策としてではなく、リフォームの一環と考えれば耐震改修はもっと進むだろう」(日本木造住宅耐震補強事業者協同組合事務局長の西生建さん)
もちろん、やみくもに壁や金物を増やせばよいわけではない。構造に関する最低限の知識は必要だが、基本は新築住宅をつくるときと同じだ。まずは、住まい手や住宅会社にとって無理のないところから始めてはどうだろう。
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