ココを押さえろ! 今冬のインフルエンザ
新型インフルエンザ
ワクチンはまだ先、薬を備蓄せよ
今年10月、毒性の強いH5N1型の鳥インフルエンザが、ついに欧州にも上陸した。トルコやルーマニア、英国での感染例が相次いで報告され、世界的な流行は秒読み段階だといっても過言ではない。EU(欧州連合)は緊急予防対策に合意し、米国も総合対策に着手するなど、風雲急を告げている。
鳥インフルエンザに対するワクチンは、WHOが供給したH5N1弱毒化ウイルス株を元に、全世界で開発が進められている。日本では、ワクチンメーカーと感染研が共同で開発に着手している。ただし、ワクチンの承認申請は早くても2006年度となる予定で、2006/07年シーズンに間に合うかどうかは不透明だ。
そうなると、当面は新型インフルエンザにも効くとされているタミフルの備蓄が頼り。厚労省は昨年、最大で2500万人分を備蓄する計画を示した。ところが、けいゆう病院の菅谷氏は、「この計画には大きな落とし穴がある」と指摘する。
「厚労省がアナウンスした2500万人分のうち、2000万人分は市場で流通している在庫を当てにしており、実際に確保するのは500万人分だけ。加えて、国家として備蓄するのはそのうちたった60万人分。残りの440万人分は地方自治体に委ねられているが、対応は大幅に遅れている」と危機感をあらわにする。
こうした中、気になるニュースが流れた。10月20日付の英科学誌ネイチャーに、東大医科学研究所教授の河岡義裕氏らが、ベトナムでH5N1型ウイルスに感染した患者から、タミフルへの耐性を持つウイルスを発見したと報告した。河岡氏は、「耐性ウイルスのできない抗ウイルス薬はなく、今回はそれが見付かったに過ぎない」と語るが、一部では「タミフルが効かなければ治療はどうなるのか」という不安が広がった。
これに対して菅谷氏は、「薬が効かないなら臨床的に重要だが、このウイルスを検出した患者は通常の処方量のタミフルで回復しており、直ちに新型の治療に影響が出るわけではないだろう」と指摘する。また、このウイルスを使った動物実験では、リレンザの効果も認められている。
いずれにせよ、現段階ではタミフルとリレンザの確保が急務であることは間違いなさそうだ。

上記の記事は、「ココを押さえろ!今冬のインフルエンザ」は、『日経メディカル』2005年11月号の特集記事から掲載したものです。
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この連載のバックナンバー
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