ダイエットで寿命を延ばす

1 摂取カロリーを抑える

 ダイエットのためには摂取するカロリーを減らせばいいことは分かった。では、どの程度まで抑えればいいのか。

 「1日当たり2000キロカロリーが目安」と筑波大学大学院の山田信博教授はいう。運動量や体質にもよるが、太り気味の人の多くは1日に2000キロカロリーを優に超えるカロリーを摂取していることが多い。まずは2000キロカロリーに近づける努力から始めよう、というわけだ。

 その第一歩として山田教授が勧めるのは「コンビニで食べ物を買う時に、カロリーを確認する習慣をつける」こと。コンビニで売られている弁当や総菜には、ほとんどに原材料やカロリー数が書かれている。

 毎日、厳密にカロリー計算しようとしてもなかなか続くものではない。食べ物を買うときに何気なくカロリー数を確認することを続けていけば、どんな食べ物のカロリーが高いのかが自ずと分かるようになり、カロリーに対する意識が高まる。結果として、カロリーに気を配ってメニューを選択する習慣ができる、というのが山田教授の考えだ。

 気をつけるべきなのは、カロリーだけではない。脂肪として蓄積されやすい食材とされにくい食材がある。「動物性の脂肪は蓄積されやすい。一方、植物性の脂肪や、魚の脂肪は分解されやすい」と山田教授は言う。

 摂取カロリーを減らすことを目的としたダイエット法はいくつかあるが、最近流行しているのが「寒天」を使ったダイエットだ。方法は簡単で、食前に寒天を食べておくということだけ。寒天の食物繊維は消化吸収されることなく、水分を含んだまま消化器官を移動するため、満腹感が得られて食事量が減る、という原理だ。寒天自体にはほとんどカロリーはない。

 カロリーの身体への吸収を阻害するサプリメントもある。脂肪分を包み込んで腸で吸収させず、体外に排出してしまう「キトサン」や、糖分の吸収を抑える「ギムネマ」「サラシア」などだ。これらのサプリメントを補助的に服用する手もある。

 ただし、身体を健康的に維持するのに必要な栄養素が不足しないように食事のバランスには気を配りたい。

2 カロリーを燃焼させる

 基礎代謝を上回る摂取カロリーは運動で消費するしかない。

 水泳やジョギング、テニスやフットサルなどの球技、柔剣道などの武道と、一口に運動といっても様々な方法があるが、中高年のダイエットに詳しい専門家たちが一様に勧めるのが「ウオーキング」だ。

 瞬発力を要する球技や武道などを無理に始めると、筋肉に大きな負担をかける上、骨や関節を痛める心配もある。身体を痛めた結果、かえって動くのが煩わしくなって以前より不健康な生活を送るようになってしまったという話も少なくない。適度に「歩く」だけなら、その心配はまずない。

 山田教授は「30分程度でいい。疲れないスピードで、周囲の風景を楽しみながら歩く。終わったころにじっとりと汗をかいているくらいの速度が理想」と説明する。この程度のウオーキングでも、体脂肪を燃焼させる効果がある。

 「体脂肪が燃焼する」とは、脂肪が酸素と結びつくこと(酸化)だ。だから、脂肪を燃焼させる運動を「有酸素運動」と呼ぶ。ウオーキングは典型的な有酸素運動だ。

 ところが、ウオーキングを始めてもなかなか成果が出ないという中高年も少なくない。同じ運動をしても、加齢によってエネルギーを消費する効率が悪くなってくる。体脂肪が燃えにくくなるからだ。

 脂肪などのエネルギーを酸化させる一連の化学反応(TCA回路)は、細胞内のミトコンドリアと呼ばれる小器官でなされるが、ミトコンドリアに脂肪を取り込むために必要不可欠なアミノ酸が、加齢によって減少することが近年分かってきた。これが若い頃よりも運動によって体脂肪が燃えにくくなることの一因だ。

 そのアミノ酸の一種が「Lカルニチン」。不足するLカルニチンは、体外から摂取する必要がある。ジンギスカンの材料であるラム肉などに多く含まれている。Lカルニチンが配合されているサプリメントや健康食品も数多く販売されている

3 基礎代謝を高める

 運動しなくても、体温を維持したり、食べ物を消化したりなど、人間の身体は常にエネルギーを消費している。入院で寝たきりになっても食事量が極端には減らないのは、この「基礎代謝」があるためだ。

 基礎代謝で消費されるエネルギー量は小さなものではない。激しい肉体労働に従事する人やスポーツ選手でない、一般的な生活者の場合、1日の消費エネルギーの7割を「基礎代謝」が占める。有酸素運動で自発的に身体を動かしても動かさなくてもこの7割は変わらないというわけだ。

 基礎代謝は、加齢と共に低下し続ける。20代と比べると、60代の基礎代謝は平均200キロカロリーほど落ちる。

 定年を境に激変する生活習慣が、その低下に拍車をかける。自宅に引きこもって行動量が減る。使われない筋肉は萎縮してしまい、筋力が低下する。すると「以前は歩いていったが、しんどいからタクシーで」という具合にますます運動量が減る。その結果、また筋力が低下する、という悪循環で基礎代謝の低下が加速していくのだ。

 「基礎代謝を高めようとする必要はない。維持できればいい」と山田教授は説く。基礎代謝低下の悪循環を食い止め、筋力を「向上させる」とまではいかなくても「維持する」ことを目指すのがマスターズ世代の賢いダイエット法と言えそうだ。

 基礎代謝を高める、つまり筋肉を増やす方法は、筋力トレーニングしかない。

 筋力トレーニングの効果を上げるポイントは「少しだけ無理をすること」、そして体内で筋肉の原料となる蛋白質をきちんと摂取すること。摂取カロリーを減らそうとするあまり蛋白質の摂取量が減り過ぎると、新しい筋肉が体内で作れなくなってしまう。

 ただし肉類を食べることで蛋白質を摂取しようとすると、同時に脂肪も摂取することになる。効率よく良質な蛋白質を摂取するためには、サプリメントを活用するという方法もある。

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