ダイエットで寿命を延ばす
大人のための知的ダイエット
無茶なダイエットは長続きしない。正しい医学的な知識を持ち、痩せるメカニズムを知って、無理のない健康的な方法で痩せるのが“大人の知的ダイエット”。その基礎知識を解説する。

ダイエットの効果をうたった商品や情報が巷間に溢れ返っている。「ダイエットに効く」とテレビ番組で紹介された翌日には、店頭からその商品がきれいに消えてしまうことも珍しくない。一方で、さんざんもてはやされた商品が翌年には見向きもされなくなっている。
筑波大学大学院の山田信博教授は「いろいろ情報はありますけれど、振り回される必要はありません。ダイエットは、当たり前のことを適度にやることに尽きます。特に中高年の場合、無理をしないこと。これが続けるコツです」という。
では「当たり前のこと」とは何か。そもそも人間はなぜ太るのか、なぜ脂肪が蓄積されるのかを知れば、その「当たり前」の対策が自ずと導き出される。
上の図を見てほしい。まず人間が何かを食べると、消化され、エネルギーになる物質が吸収される。そのエネルギーを燃料として、身体は動いている。このエネルギーを「ガソリン」、運動する身体を「エンジン」と例えると分かりやすい。
エンジンがあまり動かなければ、ガソリンは余る。この余ったガソリンが脂肪として身体に蓄積される。これが人間が太るメカニズムだ
ダイエット3つの方法
ダイエットはこの逆を考えればいい。
エンジンの回転が激しくて供給されるガソリンでは足りない場合は、蓄積されていた脂肪から供給される。これが痩せるメカニズムだ。つまり、ダイエットの方法は2つしかない。供給するガソリンの量を減らすことと、エンジンをできるだけ動かしてガソリンを消費することだ。
ガソリンの供給を減らすということは、食事などで摂取するカロリーを減らすことだ(図①)。一方、エンジンでのガソリンの消費を増やすには2つの方法がある。1つは、回転数を上げること。つまり身体を動かしてカロリーを消費することだ(図②)。もう1つはエンジンの馬力(人間の身体では「基礎代謝」と呼ばれる)を上げることだ(図③)。
「基礎代謝」とは、身体を動かさずに横になっていても消費されるエネルギーの量だ。アイドリング中のエンジンがガソリンを消費する量、と考えればいい。同じような日常生活を送っても、より多くのエネルギーを消費することになる。
体重計の中には、身長と年齢などの基本情報を予め登録しておいて乗れば、体重はもちろん、体脂肪率やBMI、さらに基礎代謝まで算出してくれるものもある(写真)。自分の身体の状態を正しく把握しておけば、ダイエットの最適な方法と目標が選択できる。
太りやすい遺伝子

同じ運動をして、同じように食べても、太りやすい人と太りにくい人がいる。「体質」の違いであり、さらに言い換えれば、その人が持っている「遺伝子」の違いだ。
身体に、どのように脂肪を蓄積しようとするかを決定する遺伝子は50以上あるといわれるが、日本人はそのうち3つの遺伝子に特徴的な変異を持っていることが多い(表)。
3つのうち、最も内臓脂肪を蓄積しやすいのが「βアドレナリン受容体(β3AR)」と呼ばれる遺伝子に変異を持っている人。糖の代謝が苦手で、1日の基礎代謝が、遺伝子変異がない場合と比較して平均200キロカロリーも低いという「体質」が特徴だ。しかも、皮下脂肪よりも内臓脂肪を蓄積しやすい。日本人のおよそ3割がこの遺伝子変異の持ち主といわれる。
どのような肥満関連遺伝子の変異を持っているかを判定してくれる検査サービスもある(写真)。
自分の体脂肪率や基礎代謝、そして「体質」を知れば、あとはそれに適した質と量でのダイエット方法を選択して実践するのみ。次のページでは具体的なダイエット方法を解説する。
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