1兆円を超える日本の小売業の盗難被害

 英国の調査機関、センター・フォー・リテイル・リサーチ社は、流通小売業向けセキュリティや販売促進関連のソリューションを提供する米チェックポイントシステム社の助成金により、万引きを含む小売業のロス(※)について、世界規模では第2回目となる調査を行ない、『グローバル・リテイル・セフト・バロメーター』(邦題『世界の小売業におけるロスと犯罪により発生するコストについての調査』)として報告した。

※ロスとは、財務収益と実務収益の差。ロスの原因は顧客や社員による窃盗、サプライヤーの不正などの犯罪行為だけでなく、業務上のミスも含めて、さまざまな要因が含まれる。また、ロス率とは、売上高に対するロス額の割合を示す。


 第1回目の調査の世界的な傾向値については、特集「5兆円が万引きされている」でレポートした。今回は、特に日本でのロスの傾向と、流通業界がとりつつある対策について、チェックポイントシステム ジャパンの高野利規子マーケティング部部長にお話を伺った。

文/吉田直人
2008年12月17日

第2回目となったグローバル調査

――この調査はまだ2回目ということですが。

高野:この調査はもともとはヨーロッパのロス被害について、チェックポイント社とセンター・フォー・リテイル・リサーチ社が10年来共同で実施しているものです。昨年から北米、ラテンアメリカ、アジア太平洋地域、アフリカ等も含めたグローバルな調査になりました。ですから日本の参加も2回目ということになります。

――このような調査は、ほかにもあるのでしょうか。

高野:残念ながら、日本では他にロス被害の実態調査はありません。北米やヨーロッパでは、大学などの研究機関で調査を実施しているところもあるようですが、小売業の企業活動にどれくらいの経営的なダメージを与えているか、企業がどれだけの対策費を講じているかの調査はこれだけでしょう。ロス被害が社会的にも重要なのは、このコストが商品価格に上乗せされ、一般消費者にとっても見えない税金になっているからです。

――北米やヨーロッパに比べ、日本でこのような調査がなかった理由は何でしょう。

高野:海外では、万引き被害対策をどう実施しているかを、抑止効果を狙って消費者にはっきりと告知しているので、消費者もロス被害の存在を知っています。ところが、日本ではこの問題が表面には出てきません。どちらかというと、青少年の犯罪問題などとして語られがちです。企業の中でも保安の問題として処理されてきました。

 ですが、ロス被害が企業の利益を圧迫する以上、これはれっきとした経営問題なのです。もっとも、次第に状況は変わってきています。この5年くらいで、ロス被害担当の専門部署を作ったり、ロス防止担当のマネージャーを置いて、この問題に科学的にメスを入れていこうとする動きが出てきました。当社としても、このタイミングで日本におけるロス被害の問題を提示することには大きな意味があると考えています。防犯センサーメーカーとしては、これを経営問題解決の手段として導入してもらい、効率的な店舗オペレーションにつなげてもらいたいのです。

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