新型インフルエンザの脅威には、こう立ち向かえ!

接触を防ぎつつ社会的機能を維持する

虫明 それでは感染症専門家として押谷さんのほうから、この日本企業の対策がどうなるかということをお伺いしたいのですが。実はよく聞かれる質問のなかに「企業における新型インフルエンザ対策というのは急ぐべきなんですか」と、あるいは1年くらいかけてもいいものなのか、もっとかけて行えばいいものなのか、あるいはそれよりもっと短いスパンでつくったほうがいいのか、という質問をよく聞かれるのですが、その辺のところも含めてお願いできますでしょうか。

押谷 この新型インフルエンザのパンデミックがいつ起きるかということは誰にも分からない。もしも起きた場合には先ほど言ったように、非常に大きな被害が広範囲にしかも同時多発的に、日本全国、世界中に起きる可能性がある。そのための対策をきちんと考えておかないと、皆さんの企業としての活動が成り行かなくなってしまう。危機管理の問題としてはやはり急いで考えておかないといけない。

 長いスパンでみると、これは必ず起きます。数百年間繰り返し起きているものです。この21世紀になって起きなくなる理由はまったくありません。むしろ起きるようなリスクというのが高まっている、いろいろな要因があって高まっていると考えることができますので、そうすると必ず起こるものだということで対策を考えなくてはいけない。

 企業としてはどういうことを考えなければいけないかというと、要するに人が集まる社会活動は、すべて感染リスクを伴うんだという視点で対策を考える必要があります。しかし社会活動を全部止めてしまったら、社会として成り立たないわけですから、社会機能を維持しつつ、社会機能をいかにして守っていくか。それが企業に求められていることなんだと思います。

 今、企業の事業所向けのガイドラインというのが、今度新しくなる案がウェブに公開されています。そこに書かれていることにも、すべての企業全部活動を止めなさい、とは書いてありません。もしもきちんとした対策ができていて、人が触れ合わないという、そういう対策ができているところは当然社会機能を維持していかなければいけないわけですから、そういうところで事業というのは継続されていくわけですね。

 しかし、もしも皆さんが何の対策もせず今のまま事業を継続していくと、それは感染リスクになる可能性が非常に高い。どこに感染リスクがあるのかという洗い直しをして、感染リスクのあるところをいかにしてリスクを下げながら事業を続けていけるか、それが企業に今求められていることです。それは皆さんの企業の社員を守ることにもなりますし、それと同時に社会を守ることにもなります。みんなで一生懸命いろんなことをやって社会を守っていく、リスクを下げながら社会を守っていくんだという視点が、今広く求められているんだと思います。

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