在宅勤務は事業継続の有力な手段
パンデミックが始まり、社員が自宅待機を余儀なくされたとき、事業を継続させる一つの有力な手段が在宅勤務である。
亀崎氏も「事務系の仕事を継続させるときに、選択の一つとして当然ある」という。
「人事、総務、経理などの業務を止めるとどうなるか検討した上で、継続させるべき業務があるとすれば、在宅でパソコンを使って業務を行うことになります。その際、誰がどこまで行うか、光ファイバー回線を引いている人だけに限定するのか、権限をどこまで与えるのか、セキュリティはどうかなど考えなければなりません。
連絡用のツールとして、ノーツやアウトルックなどのソフトを外部から使えるようにしたり、テレビ会議システムを使う手もあります。対策本部をテレビ会議で運営してもいい。いずれにせよITの活用は重要です」と亀崎氏は語る。
新型インフルエンザ対策が目的ではないが、NTTデータは既に女性社員の活用などのために2006年から「テレワーク(在宅勤務)」の実証実験を行っており、スタッフ・営業・開発・研究開発など165名が参加している。
実験の結果、好評だったため、07年から本格導入した。社員に貸与するコンピュータはアプリケーションやデータ保存機能を持たない「シンクライアント」と呼ばれる端末で、会社のサーバ側がアプリケーションやファイルの管理を行うため、データの流出やコンピュータウイルスの侵入などを防ぐことができる。自宅プリンタの使用も禁止するなど、セキュリティを高めた。
インターリスク総研の小林氏も「ノートパソコンを使うにしても、USBの認証キーや指紋認証など、本人以外に使えなくする対策が必要。セキュリティの対策と教育は必須です」と語る。
松下電器産業も07年から生産現場を除く、ほぼ全員である3万人を対象に「e-Work」と呼ぶテレワーク制度を導入した。これは国内最大規模だ。在宅でもモバイルでも、オフィス内でもフリーアドレスで業務ができるように支援する仕組みで、生産性の向上やワークライフバランスの充実を狙っている。
ノートパソコンやシンクライアントなどは会社が貸与し、自宅でも社内と同等の業務環境を実現する。
日本電気でも今年7月から在宅勤務を全社に拡大し、シンクライアントやウェブ会議システムを活用して、社内メンバーと業務環境を共有するシステムを導入している。
さらに富士通や全日空でも在宅勤務制度の拡充が進んでおり、大手企業を中心に徐々にではあるが、在宅勤務の環境が整いつつある。
新型インフルエンザのパンデミックが起きたとき、BCP上、人材確保がなにより重要である。在宅勤務を導入している企業も、今後導入予定の企業も、BCPの観点を考えに入れて制度を検討するべきではないだろうか。
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