NTTが提供する安全・安心対策~災害時の安否確認はBCPと深くかかわる~

災害時に強い通信手段は?

 災害時に、なかなか電話が通じなくてイライラした経験をした人も少ないないだろう。それは、前にも述べたように、重要通信を確保するために、一般電話の通信制御を行うからである。

 だが、通信手段によって、つながりやすいもの、つながりにくいものの差はある。下のグラフは、2004年に発生した新潟県中越地震の際、通信手段別につながりやすさをまとめたものだ。

新潟県中越地震時の各メディアの疎通状況 【クリックで拡大】

 なかでも注目すべきなのが、携帯メールである。「すぐにつながり、問題なく使えた」が18.2%、「つながりにくかったが、使えた」が57.0%と、他の通信手段に比べてつながりやすさが突出している。

 この事実は意外と知られていないようだが、「災害時には電話は通じにくいが、携帯メールは通じやすい」と覚えておくとよいだろう。

東方 幸雄氏

東方 幸雄氏

 同じメールでも、パソコンメールには欠点がある。被災地域は停電しているためにパソコン自体が使えないからだ。また、被災地域外から膨大な問い合わせがくると、インターネット・サービス・プロバイダーの処理能力によって、限界を超えてしまう恐れがある。

 その点、携帯メールは電話機の電池が続く限りメールが使えるという利点がある。また、NTTドコモのiモードは、1秒間に2万メール、1時間に7300万メールという膨大な処理能力がある。これは、お正月に一斉に送信される「おめでとうコール」に備えて増強したものだ。

 また、このグラフでは携帯電話による音声通話が、かなり通じているように見えるが、これは被災地の多くが中山間地だったためである。ほかの災害の事例では固定電話と同様に通じにくいことが多い。災害発生時には、携帯電話の音声通話は通じないと考えたほうがいいだろう。

 公衆電話は、通信制御されている固定電話に比べると、ずっとつながりやすい。災害時優先電話と同様に、優先電話化されているからだ。

 大規模災害時には、公衆電話の無料化をするが、これは投入した硬貨を返却口に戻るようにする措置である。そのため、小銭がまったくないと通話ができない。公衆電話をかけるときのために、常時小銭を準備しておくようにしてほしい。

 さて、首都直下地震が発生した場合の想定はいろいろとあるが、東京湾北部にマグニチュード7.3の地震が発生した場合、経済被害は112兆円、帰宅困難者は650万人、避難民が450万人と予想されている。ということは、翌日には1100万人の被災者が東京都内にあふれかえることになるわけだ。だが、家族の安否確認をできれば、帰宅困難者もかなり安心できるはずである。そうした人が、今度は要支援者をサポートしようという計画も練られている。

 そうした発想のもとで、企業や大学のマニュアルの練り直しも進められているところだ。ある大規模な私立大学の場合、以前は大規模災害があったら、学生は家に帰るというマニュアルになっていた。だが、シミュレーションをしてみると、実際には1割しか帰り着けないことが分かり、学生を構内にとどめるという方針に変わった。そこで、6000万円かけて生活関連物資を購入したというエピソードがある。

 ぜひ、最新の動向を見極めたうえで、BCPの立案、実行を常にチェックしていっていただきたい。

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