特集:
シックハウス症候群
今日平気だったから、明日も平気とは限らない!
住環境の変化が引き起こした現代病への対処法
特に気温の高い夏場は化学物質が蒸発し、室内の空気が汚染されやすくなるため、シックハウスを発症する可能性が高くなる。今まで発症しなかったから「大丈夫」とは言い切れないのだ。この現代病から身を守るには、どうすればよいのだろうか。
文/林愛子、写真/渡徳博
2005年8月29日
原因は、建築物の近代化
そもそも、シックハウスは米国で発見され『シックビル(ビルディング)症候群』と呼ばれた現代病で、1970年代から数々の症例が報告されている。1976年、とあるホテルで開かれたパーティー会場で、空調設備から噴出したレジオネラ菌を吸い込んだ200人以上が肺炎に似た症状を発症し約30人が死亡。1980年代にはビルの建材に使われた化学物質が原因と思われる健康被害の報告が欧米各地で続発。いずれも、ビルの高気密化が進み、換気量が低下した結果、空気中の汚染物質の濃度が高まって起こったと見られている。
日本では、古くから『建築物の衛生的環境の確保に関する法律(通称:ビル管理法)』によってビルの室内空気が管理されてきたものの、1990年代に入り、省エネ対策などから、気密性・断熱性に優れた住宅が増えたことで、シックビル症候群に似た健康障害が報告され始めた。
1994年、ある都営住宅内の公民館の室内空気中から、高濃度の発ガン性物質が検出されたことがきっかけとなり、室内環境汚染問題はシックハウス症候群として社会問題化した。1997年には厚生省(現厚生労働省)が検討会議を開き、対策に乗り出した。



NPO法人 シックハウスを考える会首都圏支部長
加賀妻憲彦氏
この検討会議で制定されたのが、シックハウス症候群の原因物質の一つとして知られる『ホルムアルデヒド』の室内空気中濃度を0.08ppm(parts per million=100万分の1)とする指針値である。ホルムアルデヒドは壁紙や合板の接着、防腐・防カビ剤などに用いられる物質で、0.08ppmは六畳間にホルムアルデヒドをほんの一滴垂らした程度の濃度である。
「指針値は、一生吸い続けても健康に問題のない濃度の基準とされていますが、指針値以下なら安心というわけではありません。指針値の半分の値である0.04ppmで発症した事例もあるからです」──こう警鐘を鳴らすのは、NPO法人シックハウスを考える会首都圏支部の支部長、加賀妻憲彦氏だ。
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