魚介類の争奪戦も始まった
穀物と同様に、世界の争奪戦が激しくなっているのが魚介類だ。
魚介類の消費量は増加の一途をたどっている。食用魚介類の世界供給量は1980年が6652万tだったのに対して、03年には1億2640万tと、ほぼ倍増している。
背景にあるのが、肉類に比べて、低カロリーでヘルシーであると認知されてきたことだ。世界的な日本食ブームは、その一環といえる。
特に消費量を伸ばしているのが、ここでも中国である。1980年の供給量が607万tだったのに対して、03年には4756万tとなり、20年余りで8倍近い伸びを示している。これは米国や欧州の増加をはるかに上回る水準だ。人口増加に加え、従来は高級食材としてなかなか手が出せなかった魚介類を、沿岸部に急増した富裕層が大量に消費するようになった結果である。
既に水産物の世界相場はかなり上昇している。これまで世界中から水産物を買い付けてきた日本が、思い通りの価格で買えない、いわゆる「買い負け」も頻発している。
例えば、米国産マダラに関して言うと、日本は2002年に漁獲量の43.2%を輸入していたが、06年のシェアは、19.4%にまで低下した。
世界的な水産物需要の高まりとともに、大きな要因となっているのは、ユーロ高だ。2002年には1ユーロ=1ドル前後だったユーロ相場は、最近では1.5ドル近くまで上昇。これを背景に欧州勢の買い付け力が高まった。
国連食糧農業機関(FAO)は今後も世界の魚介類総需要量が増加を続け、2015年には1億8300万tまで伸びると予測している。多くは養殖によって需要の伸びを賄うとされているが、それでも2015年時点で1100万tの供給不足が生じると予測されており、水産物価格は2010年までは年3%、それ以降2015年までは年3.2%ペースで上昇するとみられている。
穀物価格の高騰にしても、魚介類の「買い負け」にしても、一時的な現象ではない。世界的な需要が拡大する中、供給が追いつかないことが背景にある。現在、食材の値上がりが相次いでいるが、一時的に上下があるにしても、中長期的には食材価格は上がって行く方向にあることは間違いない。
著者紹介
田中 栄(たなか・さかえ)
アクアビット代表取締役チーフ・ビジネスプランナー。早稲田大学卒業後、CSK、マイクロソフトを経て、2003年アクアビットを設立。環境の変化や技術の進化から、新たなビジネスを創造する「未来予測」を得意とする。
馬渡 晃(まわたり・あきら)
ティップトップマーケティング代表取締役、経営コンサルタント。早稲田大学卒業後、CSK、日本LCAを経て、2006年ティップトップマーケティング設立。著書に『球場のビールはなぜ800円でも売れるのか』。
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