BCPの一環としてサーバの省エネ対策
各事業所が、さらなる省エネ対策を進めていくためには、自らの排出量が、同じ業種などで見たとき、どの水準にあるか知ることも必要である。そのため、東京都は「省エネカルテ」を作成し、事業所に提供している。
下グラフは、事務所ビルについて、建物の延べ面積当たりのエネルギー消費量を個別事業所ごとにプロットしたものだ。これによって同業種の事業所と自社の比較ができる。平均からかけ離れていれば、それだけ省エネの余地があることも示唆される。
実は、エネルギー消費量で見て平均とは比較にならないほど高い事業所がある。上の図にあるように、都内の事務所ビルの床面積当たりエネルギー消費量(エネルギー消費原単位)の平均は2365MJ(メガジュール)/m2だが、サーバなどの電子機器類が床面積の5%以上を占める「電算ビル(電算センター)」はなんと、7528MJ/m2と桁違いに消費量が高い。
サーバは24時間稼動で、空調も必要なことから、大量の電力を消費する。こうした電算ビルは都内に111事業所(事業所ビル)あり、都はその対策をことのほか重視している。
「以前、省エネ診断で電算ビルをお訪ねしたときは、『サーバを止めることはできない。省エネといっても‥‥』という声もありましたが、最近では省エネ・低発熱の“グリーンIT”と呼ばれるようなサーバの開発が進んでいますから、事業活動に影響を与えずにエネルギー削減も可能になっています」
電算ビルが都市のエネルギー消費を増やしている現象は世界の大都市でも同様に起こっている。東京都が発行した『東京都環境白書2006』によると、ロンドンにおいても電算ビルによる電力需要の増大が懸念されており、電算ビルを「インターネット(あるいはデータ)ホテル」と呼んでいるそうだ。
この電算ビル対策において、都の温暖化ガス削減対策と事業継続計画(BCP)の策定が関連する。
BCPとして情報システムのバックアップ体制の整備を進める上で、環境負荷の低減は避けて通れないからだ。都は今後、新築ビルに対しても一定規模以上の温暖化ガスを排出する対象事業所となれば削減義務を課す。そもそも義務以前に事業や企業を存続させる仕組みが温暖化ガス排出の増大につながっては意味がない。
千葉さんは「BCPと、低エネルギー・低コストの情報システム構築は入口が違っても出口は同じ」という。3月13日には、BCPとグリーンITを考えるフォーラム「環境&事業継続対策フォーラム」(主催:事業継続対策コンソーシアム)の基調講演で、東京都の取り組みについて話す。BCPを考えている人たちに、環境についての危機感を感じてほしいとの思いからだ。
既にバックアップ体制を構築している企業も、サーバなど機器類を更新する際はより省エネ性能の高いグリーンITを導入することは社会貢献のみならずコスト的にも有利になる。
BCP策定の上で今後、温暖化ガス削減対策は不可欠なポイントとなるだろう。
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