ロスを減らすセキュリティが必要
多少の地域差はあるものの、小売業におけるロスの大半が窃盗ということが分かったわけだが、そうなるとセキュリティ対策はどうなっているのかが、気になるところである。
『グローバル・リテイル・ゼフト・バロメーター』は最後に、窃盗されやすい商品のトップ10に入る商品(テレビゲーム、DVD、かみそり替刃、酒類、香水、ズボン、化粧品、小型電気機器、シャツ、靴)のセキュリティ対策についても報告している。
顧客による盗難の多かったアジア太平洋地域の結果をみると、まったくセキュリティ対策をしていなかった商品の割合が、平均43.7%にものぼった。
テレビゲームやDVD、かみそり替刃などの商品は、EASタグ(電子商品監視システムタグ)や、空箱展示、鍵の掛かったショーケース陳列棚などの対策を施している率が高いものの、商品の半数以上は、無防備な状態で展示されているのが現状のようだ。
セキュリティ対策をしていない率の比較(アジア太平洋地域)
顧客を犯罪者にしないためにもセキュリティ対策は急務。
今回の調査報告で、万引き犯罪は世界共通で、盗む商品の傾向も、意外と似ていることが分かったわけだが、日本では、今、高齢者の万引き犯罪が問題になっている。
警察庁の報告によれば、昨年までの10年間に65歳以上の高齢者の刑法犯検挙人員が3.6倍にも増加しているというのだ。高齢化社会や格差社会の影響が大きいと思われるが、万引き犯罪者の中には、「ピック病」と呼ばれるアルツハイマー病に似た認知症の障害のせいで、犯罪を犯してしまうケースもある。
今年に入って、このことを重く見た厚生労働省の若年認知症の研究班が、病気の実態調査に乗り出したばかりだが、このような特殊な病気だけでなく、ストレスや心身症から、万引き中毒のようになって犯罪を起こしてしまうケースも少なくない。こうした人たちが無意味な犯罪を起こさないためにも、セキュリティ対策は今後ますます必要となってくるだろう。
近年は、万引き被害を防ぐために、万引きGメンなる警備員を導入するスーパーなども増えてきた。テレビドラマなどでも紹介されて有名な存在となったが、現実には犯罪を未然に防ぐことは難しく、また行き過ぎた警備行為や脅迫行為などが問題になるケースもある。
こうした日本の歪んだ現状を考えると、犯罪を未然に防ぐ多様なセキュリティ対策が、今後の小売業にとって急務の課題となりそうだ。
ちなみに万引き犯罪は、軽く思われがちだが、その罪は刑法235条の窃盗にあたり、10年以下の懲役または50万円以下の罰金に処せられることを、忘れてはならない。
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