温暖化で日本はこう沈没する~「列島海進」のビジュアル・シナリオ 地球温暖化により、海面が今後どのようなペースで上昇していくのか、予測するのは極めてむずかしい。けれども、海面が上昇したとき、日本列島はどう沈没していくのかはシミュレーション可能である。海が陸に入り込んでくる「海進」のシミュレーションである。
今回、海進シミュレーションを、北海道東北・新潟東海道(関東・東海)北陸近畿中国・四国九州という七つの地方ブロックごとに実施。さらに、各地方ブロックの中から、海進の影響を受けやすい石狩平野(札幌周辺)仙台新潟霞ヶ浦東京名古屋~浜松大阪~神戸岡山松江~出雲有明海という10の地域を選択して、詳しいシミュレーションを試みた。

建築&住宅ジャーナリスト 細野透
2008年2月22日

中国・四国 東海道 九州 近畿 北陸 東北・新潟 北海道
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日本列島・海進地図は、国土地理院の承認を得て、同院の地図を使用したものです。

 2007年のノーベル平和賞は、アル・ゴア前米副大統領とIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が受賞した。地球の温暖化が及ぼす人類への深刻な影響を懸念し、その対策に取り組んだことが評価された。

 このうちIPCCは、国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)が1988年に設立。世界各国の科学者や政府関係者が参加して、気候変動の原因や影響について最新の知見を集約し、発表している。

 2001年には第3次報告書を公表。「地球の平均気温は20世紀に約0.6度高くなった。今後、2100年までの間にさらに1.4~5.8度高くなり、海面は0.1~0.9メートル上昇する恐れがある」と警告した。

 海面上昇のカギを握るのは、デンマークの自治領であるグリーンランドの氷床だ。「同地で気温が5.5度高い状態が1000年続くと、地球全体の海面は約3メートル上昇。また、気温が3度以上高い状態が数千年続くと、グリーンランドの氷床は完全に融けて、海面が約7メートル上昇する」と予測されている。

 しかし、地球温暖化はIPCCの予測を上回るペースで加速。このため、2007年2月に第4次報告書を公表。2100年までの間の気温上昇を、「1.4~5.8度」から「2.4~6.4度」に改めた。

 そして、2007年10月に深刻なデータが、米コロラド大学の国立雪氷データセンターから発表された。「北極海の夏の氷が観測史上最少レベルになり、このままでは今後25年(2032年)以内に姿を消す可能性がある」というものだ。

 IPCCの第3次報告書は、北極海の夏の氷が消えるのは2070年の夏以降と予測していた。現実はそれを38年も先取りしていたことになる。

 海面が今後どのようなペースで上昇していくのか、予測するのは極めてむずかしい。けれども、海面が上昇したとき、日本列島はどう沈没していくのかはシミュレーション可能である。その結果分かったのは、「縄文海進(じょうもん・かいしん)」の時代に逆戻りしていく、というシナリオである。

 今から約6000年前の縄文時代前期には、地球の気温は現在より1~2度高く、海面は3~5メートル上昇していた。それが「縄文海進」である。

 海進とは、海面の上昇あるいは陸地の沈降によって、海が陸に入り込んでくることをいう。これとは逆に、海が退いて陸地が広がる現象を海退(かいたい)と呼ぶ。

 以下、国土地理院が発行する「数値地図250メートルメッシュ」の標高データを使って、現在の海面が1メートル、3メートル、5メートル、7メートル高くなったとき、日本列島がどのように海に沈んでいくのかをシミュレーションした。

 海進シミュレーションは北海道東北・新潟東海道(関東・東海)北陸近畿中国・四国九州という七つの地方ブロックごとに実施。さらに、各地方ブロックの中から、海進の影響を受けやすい石狩平野(札幌周辺)仙台新潟霞ヶ浦東京名古屋~浜松大阪~神戸岡山松江~出雲有明海という10の地域を選択して、詳しいシミュレーションを試みた。

 地図に表示した「海進1m」などの表示は、「海面が1メートル高くなった場合」を意味している。

 海進シミュレーションの結果、東京圏、名古屋圏、大阪圏という3大都市圏が、海進によって広域にわたって沈んでいく姿が明らかになった。

 ここに示した「列島海進図」を現実のものにさせないためにも、日本人一人ひとりが温暖化にさらに真剣に取り組む必要がある。

 なお、この原稿は「SAFETY JAPAN」の連載、「震度7の建築経済学・第27回──地球温暖化による東京沈没のビジュアル・シナリオ」に手を加えて、再構成したものである。

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