新潟と横浜にみる自治体の危機管理

「減災」に役立つコミュニティーときずな

泉田
 横浜市には大変お世話になり、感謝しております。いまの上原さんのお話をうかがって、一つ気になったのは市民を中心とした危機管理モデルのなかで、プレーヤーの一人に報道機関が入っていない点です。

 災害が起きると、1000人近い報道関係者が押し寄せます。彼らは情報収集能力が高いので、大災害では報道機関のニュースもチェックする必要があります。役所ルートでは、「問題ない」という情報ばかりが上がってくる傾向にあるので、マスコミの情報も重要な情報源です。

 もちろん、わたし自身も災害現場を自分の目で確認していますし、最近では部下に任せず、その上司たちも自分の目で確認するようになりました。

上原
 確かに情報伝達者としてのマスコミは力になりますね。

中川
 ただし、横浜市を含む首都圏大規模地震が起きると、メディアは東京に向かうので、横浜市にとって役立つかどうか分かりません。横浜市民によるメディア、地域メディアの必要性もあるのではないでしょうか。ところで、防災に対してコミュニティーの動きはどうなのでしょうか。

横浜市危機管理監 上原美都男氏 横浜市危機管理監 上原 美都男氏

上原
 コミュニティーの再生は大都市の大きなテーマですが、最近は防犯ボランティアの活動などもあり、犯罪はこの数年、減少傾向にあります。この動きを防災につなげられないかと思っています。

 要介護度の高い人たちや認知症患者、障害者などの災害要援護者は横浜市で10万人程度おります。また、木造密集市街地は13万人3.7万戸、さらに81年の耐震基準以前の木造住宅が25万戸。これらの3種の「災害弱者」をオーバーレイすることでコミュニティーの力を活用しながらいかに支援していくかが重要なポイントになると思います。

中川
 最後に泉田知事は中越地震の復興に当たっては「きずな」をテーマにされましたが、その思いはどこにあるのでしょうか。

泉田
 公的機関が命と人を助けられるのはわずかに数パーセントです。被災をしたら家族、近所、通りがかりの人によって助けられることが圧倒的に多い。つまり、きずなこそ命を救い、「減災」に役立つのです。

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