特集:
連載企画「水害の世紀」(3)
危機状況での情報収集と判断が生死を分ける
~普段から自分なりの解決策を用意せよ~

日経コンストラクション編『水害の世紀』(日経BP社発行、定価2000円)
 日経コンストラクションでは、日本で浸水被害が多発し始めた状況をとらえ、 7月11日に『水害の世紀』というタイトルの書籍を発行。2004年に日本で発生した浸水被害などの記録を、カラー写真や被災者の証言という形でとどめる。さらに一歩踏み込んで、災害発生のメカニズムや災害から身を守るためのポイントもまとめた。

 この連載企画の趣旨は、『水害の世紀』の一部分を紹介しながら、水害はどういった場所で発生する確率が高いのか、浸水被害からどうやって自分や家族の命、さらには持ち家を守っていけばいいのかを解説するものだ。

 連載の第2回では、水害時に自分の身を自分で守る「自助」の考えがいかに大切かをまとめた。今回は一歩進んで、災害発生時に情報をどう入手し、さらにその情報を基に、避難などの行動にどう移ればよいかをみていこう。

 インターネットの普及によって、多くの情報が簡単に入手できるようになった。自然災害も例にたがわない。例えば、気象庁のホームページにアクセスすれば、天気予報はもちろん、気象警報や注意報、河川の洪水予報など、多くの情報を見ることができる。いざというときのために、こうした情報のありかを日ごろから把握しておくことは欠かせない。

 洪水の危険性を認識できず、避難が遅れることは、生死にかかわる深刻な問題になる。しかし、大雨や台風による洪水は、気象警報などによって、発生をある程度まで事前に予測できる。警戒段階での情報収集によって、危機的状況が迫る前にタイミングよく避難行動に移ることは可能だ。(日経コンストラクション編集)

監修/森野美徳 文/日経コンストラクション編集部
2005年8月25日

【PART1】
水害は情報収集で事前に察知できる

 水害の危険性は、台風や雨量、洪水予報などの情報から、事前に察知できる場合がある。豪雨の際には早めに帰宅し、気象情報をはじめ、総雨量や今後の予測、河川の水位、ダムの放水など、様々な情報を入手すれば、事前に警戒することもできる。

気象情報の注意報や警報で危険度を判断

 災害の発生する危険があることを伝える情報として、気象庁が発表する様々な注意報や警報がある。警報の方が危険度は高く、例えば東京23区の場合、1時間雨量が30㎜以上で「大雨注意報」、50㎜以上になると「大雨警報」が発表される。ただし、雨量の基準値は地域によって異なり、総雨量の条件を伴うこともある。

 気象庁では1~6時間先までの見通しを示す「降水短時間予報」や、数年に一度しか起こらないような猛烈な雨が観測された場合の「記録的短時間大雨情報」なども発表している。こうした情報を生かすには、用語の意味のほか、時間雨量や総雨量によって、どのような危険が生じるのかを知っておくことが大切だ。

洪水警報が出たら避難の準備が必要

 河川の増水によって堤防やダムが損傷し、浸水の危険がある場合には「洪水予報」が発表される。洪水予報には「洪水注意報」と「洪水警報」、補足説明などの「洪水情報」の3種類がある。洪水警報の発表後はさらに警戒を強め、状況に応じてすぐに避難できる準備を整えておく必要がある。

 現在、洪水によって起こる被害が大きいと心配される192河川が、洪水予報の指定河川になっている。

緊急時には防災行政無線など身近な情報源が威力を発揮

 情報は主にテレビやラジオ、インターネット、携帯電話などで入手できる。「××川が警戒水位を超えた」「××地区に避難勧告が出た」など、緊急時には、防災行政無線や広報車、人員による伝達、地元のケーブルテレビやコミュニティーFMなど、狭域での身近な情報源も役に立つ。また、雨量や水位を表示する河川情報表示板を駅前に設置している例もある。

 防災行政無線にはスピーカーを設置する屋外拡声方式と、各戸に放送受信機を置く戸別方式があるが、被災地での調査によれば、屋外拡声方式は風雨で音声が聞き取りづらい難点がある。

 避難勧告や避難指示などの決定的な情報を聞き逃さないよう警戒することが重要だ。

国土交通省京浜河川事務所では管内の4カ所に河川情報表示板を設置している。写真は川崎市のJR川崎駅

インターネットは有力な情報源

 放送時間が決まったテレビやラジオと違い、いつでも情報を確認できるのがインターネットの利点。

 気象庁や民間の気象情報サービスのホームページでは、天気予報はもちろん、雨量や注意報、警報などの防災気象情報を確認できる。さらに、地域によっては自治体や河川管理者、国土交通省などのホームページから、観測所のある河川の水位をほぼリアルタイムで知ることもできる。

 まずは自分の住む自治体のホームページから防災に関するコーナーにアクセス。市町村独自で整備していなくても、防災情報専門のホームページにリンクしている場合もある。

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