すわ地震、そのとき家づくりのプロたちは(第2回)

談話まとめ:渡辺圭彦=ライター
日経ホームビルダー
2007年10月10日

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誇りだった家を泣いて「壊して」と

丸山正栄さん
(柏崎市在住)

ホーメックス社長。1951年生まれ。大工の修業を経て建設会社に入社。70年に独立し、柏崎市で丸山建築を創業。のちに丸山工務店に改名し、木材部門も設ける。83年に会社化。不動産部門、一級建築士事務所を開設。88年にホーメックスに社名変更。独自のパネル工法で柏崎市・長岡市を中心に年間40棟のペースで新築住宅を手掛けている。

 築7年の自宅が一部損壊して、まさに一般の建て主の方と同じ立場です。地震の起きた朝は外出していたんだけど、帰ってみたら家の中はおもちゃ箱をひっくり返したような状態。テレビや家具がバタバタ倒れていてね。

 キッチンキャビネットの扉につけた耐震ラッチのなかには、いくつか機能しないものがありましたね。中の食器類がどーっと出てしまっていた。だから、造作収納の扉は引き違いがいいなと思いましたね。引き出しなんか地震のときは最悪だね。全部出てくっから。

 ただ、前の中越地震も含めて、2回も震災に遭ったけど、建物自体に大きな損壊はありませんでした。今回も基礎にヘアクラックくらいが入った程度です。独自のパネル工法で、これは当社の建物に採用しているのですが、耐震性の面で自信になりましたね。

 ざっと片づけて、すぐ会社へ向かった。社屋内も、もうすごいことになってる。机が全部動いて、それが部屋の真ん中に集まってんだから。パソコンも落下するわ、配線もめちゃめちゃだわ、全部だめでしょ。

 とにかく、まずは(被災住宅の)応急処置用のビニールシートをホームセンターで買いこんでさ。前回の中越地震の経験があるから、わかるわけですよ。瓦が落ちているから、雨が降ると大変じゃないですか。とにかく屋根にシートをかけて回るという作業が最初なんですよ。

 地元で36年やってるので、OB客も多いんですよ。知り合いや身内が住む古い建物もいっぱいある。そういうところからすぐ相談が来るのがわかっていたから。

 ホームセンターの在庫にも限度があるから、こっちの店でビニールシート50枚、あっちの店で30枚という感じで集められるだけ集めて。隣の町から買ってきてもらうこともしましたよ。市がシートを支給するのなんて、1週間くらいたってからだからね。

 スタッフも、昨日までの日常業務はいったん停止。お客さんから電話がかかってくるから。すごい数だったよ。もちろんOB客以外からもかかってくるわけで。

 でも、どの辺の地域がひどいのかとか、被害の状況がよくわからない。で、当日の午後、俺は辺りを回りましたね。1~2時間のうちにあちこちで渋滞が始まった。道も陥没して、分断されてっからね。大回りしなけりゃならない。

 ジープ型の軽自動車を持ってたから、助かったね。道路が半分落ちてても、細い道でも通れる。10cmや15cmの段差でも越えられるから。地震が起きた日はまだバリケードもなくて、通れたんですよ。

 引き渡して何十年も行ってなかったような家も回りましたが、まあ大きくつぶれたような被害はなかった。その点は不幸中の幸いというか。建て主に「よかったね」と言ってさ。

 震災直後は、すぐに手当てはできないけれど、建て主から状況や心配な点なんかを聞いてあげることが大事。とにかくね、みんなパニックになってる。行って顔を出して聞いてあげるだけで安心するんです。

 だからね、何軒も回れないの、一日では。まあ行けば1時間くらいは話を聞いてあげないと。「いますぐ直さなくても住んでられっから、大丈夫だよ」「この程度の被害なら、余震が来ても大丈夫だからね」と言ってあげると安心すんだよね。そういうケアみたいなものが、私らのとりあえずの仕事になりますね。

 スタッフも、営業担当者をはじめ、みんな2人1組になって、分担して回りました。

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