エネルギーで覇権めざすロシア[後編]

財団法人日本エネルギー経済研究所 専務理事・首席研究員 十市 勉氏
2007年9月19日

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理由こじつけ、外資から主導権を奪い返す

 エネルギー産業を「戦略産業」と位置付け、国家管理を強化しているロシアだが、その強引なやり方に、国際社会は警戒心を募らせている。

 ロシアでも未開拓の資源の開発環境はどんどん厳しくなっている。そうしたなかで、高い資源生産量を維持するためには、外国企業の資金や技術力が不可欠だ。しかし、外資に依存せざるを得ない状況にもかかわらず、主導権は握りたいというロシアの思惑から、英蘭系のロイヤル・ダッチ・シェルや英国のBPなど外資系エネルギー企業と、エネルギー資源の権益をめぐって激しい綱引きをしている。

 最近では、ロシアは小規模でうまみのないプロジェクト以外は外資に主導権を与えず、過去に与えた権益すら奪い返そうとしている。例えば、「サハリンⅡ」プロジェクトでは、ロイヤル・ダッチ・シェルが55%、三井物産が25%、三菱商事が20%の権益を持っていたが、環境破壊を盾に工事を中止させ、半ば無理やり、権益の「50%+1株」を自国の天然ガス独占企業であるガスプロムに売却させた。また、BPがTNKというロシアの投資会社と共同で設立したTNK-BPが持っていた東シベリアの巨大なコビクタ・ガス田についても、ガスプロムが安値で買収した。

 外資に主導権を握らせないための法的な枠組みも整えている。2005年3月には、外資の参入を規制する「地下資源法」の改正案を提案。現在、議会で審議中である。これは、ロシアの鉱区に「戦略的鉱区」という考え方を導入し、一定規模以上の埋蔵量を持つ油田やガス田の入札資格に「ロシア企業が50%以上出資していること」という条件を加えるものだ。

 これに先立ち、2003年6月には、1996年に成立した「生産物分与(PS)法」を大幅に改正した。PS法は国際的によく使われる手法で、油田やガス田を開発する際に外国資本がリスクを負う代わりに、資源が見つかった場合には資源の一部を「生産物」という形で与えることを定めたものだ。改正以後は、新規鉱区に関して、生産物分与は事実上禁止された。

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