蚊はどこから入ってくるのか?(前編)

■白井さんに教わる蚊の生態と蚊よけの方法

Q 蚊の種類と見分け方を教えてください。

住宅地によくいる蚊は「アカイエカ」と「ヒトスジシマカ」。蚊のようですが蚊ではない「ユスリカ類」も、よく見られます。蚊の雄は触角が房のようになっているので、雄、雌の区別はすぐにつきます。アカイエカもヒトスジシマカも、人を刺すのは雌だけです。
ユスリカ類は人を刺しませんが、死骸がアレルギー反応の原因物質になるといわれています。

(左)アカイエカの雌。色は赤茶。体長は約4~6mm
(右)アカイエカの雄。雄は触角が房状になっている


(左)ヒトスジシマカの雌。白黒の縞模様で、体長は3~5mm
(右)ヒトスジシマカの雄。雄は触角が房状になっている


ユスリカ類。体長は約1~2.5mm
(蚊の写真提供:白井良和)
















Q 蚊はいつどんなふうに活動するのですか?

蚊帳の編目をくぐっているアカイエカ
建物のすき間から侵入するのは、大概アカイエカです。蚊帳の編目をくぐることもあります。昼はあまり動かず夜活動します。家に侵入しても、明るいうちは暗がりに隠れていて、電気を消して暗くなると活動を始めます。ですから、寝ていて蚊が耳障りなときは、電気をつけると逃げていきます。
ヒトスジシマカは昼活動します。すき間から入るより、外にいる人と一緒に家の中に入ることが多いです。
一カ所に群れて「蚊柱」をつくるのはユスリカ類です。光に集まります。


たくさんいる。これがアカイエカで、こっちが雌だ……


Q 蚊に刺されやすいのは、どんなタイプの人ですか?

蚊は二酸化炭素や熱、水分、においなどから、人を感知します。暗い色も好むので、黒や青、赤などの濃い色に近寄る傾向があります。こうした傾向や実験の結果から、体温が高く、やや汗かきで、色黒で太り気味の人は、蚊に刺されやすいです。お酒をよく飲む人も、アルコールを分解している途中で二酸化炭素を吐き出す量が増えるので、蚊に刺されやすくなります。
蚊に刺されにくくするには、肌の露出の少ない白っぽい服を着て、汗をかいたら着替えるのがよいでしょう。
血液型では、O型の人が刺されやすく、A型の人が刺されにくいことが研究で明らかになっています。


Q 虫よけ剤の選び方を教えてください。

虫よけ剤としては、これまで「ディート」という化合物が広く使われてきました。虫よけ効果が高く、持続性もあり、副作用もほとんどなかったからです。ところが、稀に神経障害や皮膚炎を起こすという報告があったことから、近年、使用上の注意の改訂が行われました。こうした経緯から、近ごろではディートを使用しない虫よけ剤が増えています。
代わりに、ハッカやユーカリなどの天然オイルを使った虫よけ剤が増えています。ただ、天然成分だから安心して使えるとは限りません。そもそも虫が忌避する刺激物なので、小さな子供や肌の弱い人は、注意して使う必要があります。

白井良和

1968年京都市生まれ、医学博士。大学の農学部で昆虫学、医学部で感染予防医学を学んだ後、殺虫剤メーカーなどに勤務。01年と03年に害虫防除技術研究所とモストップをそれぞれ設立

日経ホームビルダー(2007年7月号)

 上記の記事「<突撃!ゲンバ検証隊>蚊はどこから入るのか?」は,『日経ホームビルダー』2007年7月号に掲載された記事です。
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