“ダメBCP”は地震・停電から発想する

「身の丈サイズ」のBCP

 BCPをうまく機能させるためには、「BCP文化の定着」が重要となる。以下の三つの質問に自信を持って「はい」と答えられれば、文化が定着しているといえる。

 1)BCP活動を実施することに従業員が賛同しているか?
 2)緊急時、出社可能な従業員が出社してくれそうか?
 3)緊急時、何を行うべきかを従業員は理解しているか?

 もし、自信を持って「はい」と言えないときは、教育、訓練・点検、文化の醸成が必要だ。BCPは企業の存続にとって不可欠という意識を全社員が持つことが重要である。実際に、中小企業の場合、企業の存続を左右しかねないと、中小企業庁でも考えている。

 そのためにも、BCPの診断や維持・更新が必要となる。診断としては緊急時の模擬訓練の実施がある。訓練には図上訓練、情報連絡訓練、代替施設への移動訓練、バックアップ情報の回復訓練、防災訓練への参加、緊急時用設備・装置の点検などがある。また、自己診断チェックリストを利用する方法もあるが、これは中小企業庁にあるので活用してほしい。BCPの維持・更新は、最低年1回は必要だ。

小林 誠氏

 最後にまとめになるが、一言で言えば「身の丈サイズ」のBCPを考えてもらいたい。冒頭、BCPは地震対策ではないと言ったが、分かりやすいので地震に話を置き換えると、自社が実施できる範囲でBCPを策定することだ。

 例えば、関東大震災級の地震が発生するのは22世紀になるといわれており、こうした巨大地震を想定するのは現実的ではない。また、東京湾直下地震も30年以内に70%の確率で発生するといわれているが、30年後まで企業が存続しているかどうかは分からない。したがって、はじめは初動対応(基本コース)の策定だけでよいだろう。

 BCPはPDCAのサイクルを回すことが大切だが、できるところから始め、被害を最小にする対策が第一優先だ。まずは事務所において社員から死亡者を出さないことだろう。

 もし、高層ビルの上層階に事務所があるなら、揺れによってコピーやファックスが飛び、キャビネットが倒れるだろう。そのとき、社員がケガをしないようにこれらを固定することなら、すぐにでも始められる。

 そして、社員自身も自らの身体を守るために、机の下に潜り込むことが基本だ。古典的な防衛手段だが、欧米でもこれは重視されている。そのために、机の下に書類や道具などをぎっしり置いておくのは危険だ。机の下に潜り込めないほど太っていることも危険だろう。

 机の下に潜ったとき、キャビネットが倒れてきて外に出られなくなったらどうするか。そのためには備蓄品パッケージだけは机の下に用意しておく方がいい。3日間は生きられる水と食料、簡易トイレなどがあればいい。会社が買い与えるのではなく、社員個人が身を守るためなのだから、自分たちに買わせてもいいだろう。

 BCPをこれから導入する企業ならば、まずはそこから手をつけてはどうだろうか。

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