“ダメBCP”は地震・停電から発想する

まずは基本コースから取り組もう

 私は中小企業庁のBCP委員会でガイドライン作りにもかかわったが、ここでは同庁のガイドラインに沿ってBCPの進め方を説明しよう。

 最初にBCPは以下のようなサイクルを回すことが必要だ。

 事業の理解 → BCPの準備 → BCPの策定 → BCP文化の定着 → BCPの診断・維持・更新

 特に事業の理解とBCP文化の定着が重要である。全ての部署の事業を知っている社員は意外と少ない。全社員で各事業の情報を共有しなければならない。そして、みんなでBCPを推進するという意識を持つことが大切だ。

 中小企業庁が勧めるBCPステップアップには、基本コース(1~2日でできる)、中級コース(3~5日でできる)、上級コース(1週間以上かかる)があり、最初は基本コースで簡略版を作ってから、中級コースに進むのがよいだろう。上級コースともなると、学ぶことはあまりなく、「自分で考える」ことが必要となる。

 各コースの説明や様式類は同庁の「中小企業BCP策定運用指針」からダウンロードできるので利用してほしい。

小林 誠氏

 BCPの発動フローは初動対応の第1段階から復旧対応の第2段階に移行するが、日本企業ではこれから第2段階を策定するケースが多いだろう。これに対して外資系は逆に第2段階しか策定していない企業も多い。

 第1段階では復旧を見据えた初動対応が肝心である。何のための初動対応をしているのか、あくまでも事業の復旧・再開が目的であることを明確にしておく必要がある。初動対応が円滑に進まないと、復旧もうまくいかない。はじめてBCPに取り組むときはこの段階で十分だ。

 例えば、社員の安否確認についていえば、BCPの責任者には、人命確認という人道的な意義よりも、どれだけの復旧要員を確保できるのかという視点が必要だ。現在では、システム構築に1000万円もかけても、コンピュータで自動安否確認を行う企業も増えてきた。

 第2段階では、「顧客・協力企業への連絡」「中核事業の継続方針立案・体制確立」がポイントとなる。方針の立案と体制確立に当たっては、中核事業のダメージを診断し、目標復旧時間を設定、応急復旧対策方針の決定、財務の予測診断、実施体制の確立、拠点場所の確保が必要となる。

 欧米のBCPでは復旧は被災地ではなく、他の場所で行うのが基本だ。ただし、我が国のメーカーの工場復旧では代替地で行うことが難しいので、前述したミティゲイション(被災の緩和)が大事になる。方針と体制作りは業種や製品によって違ってくる。

 方針と体制作りのあとは、「顧客・協力会社向けの対策」「従業員・事業資源対策」「財務対策」「地域貢献活動」「災害復興対策」が必要となる。地域貢献は日本特有であり、必須というわけではないが、企業規模や業種、その企業の地域での役割などによって必要となる場合もある。

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