「ライフライン確保」なしにBCPは語れない いま企業の間で最大の関心事の一つとなっているBCP(事業継続計画)。大きな災害があった場合に、1企業だけの力で復旧することは難しい。例えばライフラインはどうなるのか。この問題に焦点を当てたパネルディスカッションが、『危機管理産業展2006』(東京国際展示場、2006年10月24~26日)で開催された。テーマは、「BCPに不可欠なライフラインをどう確保するか」。パネリストには、企業の事業継続に欠かせないライフラインの各担当者、そして事業継続の専門家を迎え、来るべき大震災への対策と問題点について熱のこもった討議が展開された。

<コーディネーター>
・時事通信社 防災リスクマネジメントWeb編集長 中川 和之氏
<パネリスト>
・京都大学 経済研究所 先端政策分析研究センター教授、NPO法人 事業継続推進機構理事長 丸谷 浩明氏
・東京電力 総務部防災グループ グループマネージャー 大橋 裕寿氏
・東京ガス エグゼクティブ・スペシャリスト 防災・供給部長 坂口 央一氏
・東京都水道局 総務部施設計画課長 牧田 嘉人氏
・東日本電信電話(NTT東日本) ネットワーク事業推進本部 サービス運営部 災害対策室長 東方 幸雄氏
・東日本旅客鉄道 鉄道事業本部 安全対策部 企画・防災グループ課長 南雲 敦氏

文/二村 高史、写真/吉田 明弘
2007年2月20日

 ここに来て、雑誌や新聞でBCP(事業継続計画)という言葉を目にする機会が多くなった。BCPとは、企業が激甚災害やテロなどに遭遇した場合に備えて、早期復旧や事業継続を目指して取り決めた計画のことである。

 今回のパネルディスカッションは、南関東地域での大地震発生を想定したもので、BCP策定に欠かせない電気、ガス、水道、電話、鉄道を担う各事業者の担当者らが招かれた。会場には、昨今のBCPに対する関心の高まりを裏付けるように、満員の聴衆がつめかけた。

 まず、コーディネーターの中川氏がパネルディスカッションの趣旨を説明する。

時事通信社 防災リスクマネジメントWeb編集長 中川 和之氏

中川:
 遅かれ早かれ南関東地域を地震が襲うのは間違いない。自然災害の発生自体を防ぐのは不可能だが、都市の脆弱性を解消することによって、被害を最小限に抑えることはできる。なかでも、事業継続に深く関係するのはライフラインだ。企業の担当者にとって、BCPを作成するに当たり、実際にライフラインを担う各事業者の話を聞くことは有意義であると考える。

 では、それぞれの事業者にお話を聞く前に、事業継続においてライフラインはどう位置づけられているのか、丸谷先生にうかがいたい。

京都大学 経済研究所 先端政策分析研究センター教授、
NPO法人 事業継続推進機構理事長 丸谷 浩明氏

丸谷:
 広域災害時の事業継続にまず大切なのは、事業の復旧・継続に必要な人に、災害被害の中でどう稼動してもらえるかだ。一方、勤務時間中の場合、当面不要な人を安全に自宅に帰す方策がないと、社内や地域の備蓄・資源を食いつぶしてしまう。

 第二に、自社の施設・設備がどの程度深刻な被害を受けるかを把握し、対処すること。ライフラインが事業継続の一番の問題と考えている企業があるが、そうでないことが多い。過去の災害をみても、自社施設に相当に被害が出ると、ライフラインの復旧よりも先に自社施設の復旧ができることはむしろまれと聞く。

 その次に、自社に接続するライフラインの被害状況と復旧時期の把握であろう。こうしたことを頭に入れておきながら、今回のシンポジウムの内容をBCP策定の参考にしてほしい。

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