特集:
<マンションの防災・防犯>
地震で恐い家具の転倒、その固定法は

地震発生時に負うケガの多くは、室内にある家具の転倒や落下物が原因になっている。近年の大地震時の家具による被害データを参考にしつつ、効果的な家具の固定方法を解説する。

NPO法人耐震総合安全機構
2007年1月16日

1 家具の転倒により発生する危険

家具転倒と負傷の関係

 2003年に発生した宮城県北部地震と、十勝沖地震の負傷原因の割合を図1に示す。どちらの地震でも「家具転倒」や「落下物」が負傷の大きな原因になっていることが分かる。

図1 負傷原因の分類(参考 1)

 「本人転倒」というのは、慌てて行動したために転んで脚をくじいたり、何かにぶつかったりして打撲した事例だ。慌てて行動した理由の一つには、家具が倒れたり、物が落下したりする危険な場所にいたことも考えられる。

 つまり、地震時のケガを防ぐためには、家具が転倒・落下しない安全な室内空間をつくることが極めて重要であると言える。また、「ガラス」によるケガの多くは、地震後の後片付けの際に、飛散したガラスで手足を切ったというものである。

 ガラスは、思った以上に遠くまで飛散することがあるため、家具の転倒防止対策と同時に、窓ガラスの飛散防止対策や、食器棚など家具類の扉の開放防止対策も重要である。

表1には、1995年の阪神・淡路大震災における高層住宅の家具転倒と負傷者の割合を示した。家具転倒率も負傷率も上層階ほど高くなり、居住階と家具転倒による負傷とに相関があることが分かる。中層階や上層階では、負傷者の中に重傷者も含まれている。

表1 高層住宅の階による家具転倒率と負傷率の違い
(阪神・淡路大震災の被災データより参考 2

*1 こぶ程度のけがも含む
*2 収納家具、主な家電機器、ピアノなどの転倒割合

家具転倒と避難の関係

 家具の転倒や収納物の散乱は、避難の妨げになる可能性もある。

 05年に発生した福岡県西方沖地震では、福岡市内の高層住宅の居住者にアンケート調査を実施し、地震後に建物の外へ避難した人に対して、避難の支障程度を尋ねている。

 これによると、上層階の居住者ほど避難に支障を感じている。その理由として、家具の転倒や備品の散乱による障害物があったことを挙げている(図2、図3)

図2 避難の支障程度(参考 3)

図3 避難の支障理由(参考 3)

 地震後には火災発生のおそれもあり、安全な避難路を確保することは重要である。特にマンションでは、避難路となる玄関や各部屋の出入り口付近に、転倒・散乱する危険性の高い家具や置き物がないかどうかを注意する必要がある。



この記事は、『日経アーキテクチュア』ムック、「すぐに役立つマンション管理ガイド」防災・防犯編(2006年12月発行)から掲載した記事です。

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