加齢で増える歯周病 ― その最新治療法

その他の治療方法

 GTR法のほかにも、『歯周組織再生療法』にはエムドゲイン法という方法もある。これは、GTR法で使う膜の代わりに、エナメルマトリックスタンパク質(エムドゲインゲル)という、若い豚の歯胚から抽出したタンパク質を塗る方法だ。

 歯胚は歯を作る元になるもので、GTR法と同様に、それに誘発されて、セメント質が作られ、骨が作られていく。ただし、豚のタンパク質を入れることに抵抗を感じる人もいるという。

 また、GTR法は高度先進医療で一部保険適応されるが(日本大学歯学部付属歯科病の場合)、エムドゲイン法は全額自己負担なので、費用が若干高い。

 そのほかにも昔から行われている方法で、骨移植術という方法もある。これは自分の骨あるいは人工骨を使う方法だ。さまざまな治療方法があるが、どれを選択するかは医師と相談の上、最終的には患者自身が決める。当然だが、病気が進行すれば選択できる治療も少なくなるのだ。

すべての治療の基本は患者の決意

 歯周炎まで進行しても、さまざまな治療で治る可能性があることが分かったが、「どんな治療も、医師の治療だけでは効果は得られない」と伊藤氏は言う。

日本大学歯学部付属歯科病院長 伊藤公一氏

 「歯周病は生活習慣病でもあることから、食生活を含めた生活習慣の改善や、正しい歯磨きの習慣など、治療に対する患者さんの理解と努力がもっとも大切です」(伊藤氏)。

 手術をしても歯を磨かない、甘いもの中心の食生活を改善しないということでは、すぐに再発してしまう。

 「そういう場合には治療の効果が期待できないので、手術を行わないこともあります」と伊藤氏は言う。大切なのは、治療後に適切なケアを続けることで再発を防ぎ、いつまでも健康な歯と歯周組織を維持することだからだ。

 何歳になっても自分の歯で食事したいという思いは誰でも同じこと。そのためには、風邪を引いたら近所のかかりつけ医に行くように、かかりつけの歯科医を持ち、自分は大丈夫と思っても定期健診で早期発見・早期治療すること。

 そして治療をしたら、生活習慣や正しい歯磨きなどのセルフケアと、歯科医によるプロフェッショナルケアで、再発防止に努める。これが、いつまでも歯を失わない最善の方法といえそうだ。まずは歯の定期健診からはじめてみてはいかがだろうか。

<参考サイト>
日本大学歯学部付属歯科病院

<医師プロフィール>

伊藤公一/いとう こういち
日本大学歯学部付属歯科病院長 1947年生まれ。72年日本大学歯学部卒業、76年同大学大学院歯学研究科修了、99年より同大学歯科保存学教室歯周病学講座教授、2002年より現職を兼任。日本歯周病学会常任理事、米国歯周病学会会員ほか。

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